掘出し物件発見?知らずに違反建築物を買わないためのチェックポイント

自分の住む家を買おうと探している、もしくは収益物件を探しているときに、まわりの相場よりも安い物件とか、利回りが不自然に高いが広告されていることがあります。

「もしかして掘り出し物件を見つけた?」と思ってしまうかもしれませんが、不動産が安い時には必ず理由があります。

不動産が安くなる理由のひとつが、売買対象の建物が法律に適合していない「違反建築物」です。

実は、違反建築物かどうかの見極めはとても難しく、プロの不動産業者でも見落としてしまうことがあるくらいです。

この記事では、知らないうちに違反建築物を買ってしまわないために、違反建築物かどうかのチェックポイントを説明します。

違反建築物とは?

違反建築物とは?

一般的に、建築基準法の規定に適合していない建物が「違反建築物」 です。
建ぺい率・容積率超過、斜線制限違反、用途制限違反、接道義務違反などのほか、そもそも建築確認を取得せずに建物を建てている、他には増築や用途を変更した場合にも、法の規定に適合しなければ、違反建築物になる可能性があります。

一方で法律が改正されるなどして、違反建築物になってしまった建物があります。
建築当時には適法だった建物が法改正などで違反建築物になった場合には「既存不適格建築物」として、違反建築物とは分けて扱われます。

既存不適格建築物はローンが組めますし、適法な建物として扱われますが、建て替えなどの際に現行法規にあわせて違反している部分を是正する必要があります。
(現在と同じ用途や規模の建物が建たない可能性がある)

違反建築物はなぜ安い?

違反建築物は安い

違反建築物は住宅ローン・アパートローンどちらの場合でも、銀行がお金を貸してくれないため、現金で買う人にしか売ることができません。

不動産は高額のため、ほとんどの人はローンを利用します。
ローンが利用できないということは、購入できる人が少ないということです。

需要のないものは価格を下げなければ売れません。
そのため、違反建築物は安い金額で取引されるのです。

違反建築物は世の中にあふれている

今でこそ、検査済証のない物件や違反建築物はローンが組めないのですが、15年ほど前までは、検査済を取得しない物件や違反建築物はそこらじゅうにあり、当たり前のように売買がされ、融資もされていました。

出典:国交省「効率的かつ実効性ある確認検査制度等のあり方の検討」

平成10年のデータでは、検査済証を取得している建物は40%弱です。
築20年超の中古物件の多くは違反建築物である可能性があるということです。

違反建築物判定のチェックポイント

違反建築物判定のチェックポイント

本当に違反建築かどうかは、建築士等の専門家が詳細な調査をしてみないと分からないですし、違反の例を挙げればキリがないほどたくさんあります。

これから説明するポイントをチェックすると、違反している疑いがあるかどうかの判別はできるので、活用して下さい。

①建築計画概要書・台帳証明書で確認


役所で取得できる建築計画概要書・台帳証明書で建築確認済証・検査済証の有無を確認します。(書類の保存期間が、役所によって違うので保存されていないケースもあり)

※建築計画概要書とは?
建築物の建築主が建築確認申請時に提出する書類のひとつ。
建築計画の概略(建築主・工事施工者・建物の概要・案内図・配置図等)が記載されています。

※台帳証明書とは?
建築物等の確認等の概要について役所の印影がある証明書です。
確認済証や検査済証を受けたエビデンスになります。

  • 建築確認・検査済ともにあり→建築基準法に適合している(増改築がなければ)→違反建築物ではない
  • 建築確認あり、検査済なし→法に適合しているか不明
  • 建築確認なし→違反建築物

②建築計画概要書・登記簿などで面積をチェック


建物の面積が指定の建ぺい率・容積率内に収まっているか確認する。
超過している場合には、緩和規定を確認する。

・建ぺい率の緩和
角地緩和
耐火建築物による緩和

・容積率の緩和
共同住宅の共用廊下・階段等の容積不算入
自動車車庫・自転車置き場等の容積不算入
小屋裏物置等の取り扱い
住宅地下室の容積不算入 など

③建築確認図面と現状を比較

建築計画申請書で役所に提出した図面と実際の建物が違うケースがあります。
建築確認取得後に敷地の一部を売却して接道義務をみたさなくなった、建築確認内容とは異なる建物に増築した、容積率不算入の駐車場を居室に造り替えたなどのケースが違反建築物になります。

まとめ

まとめ

売買される建物が違反建築物または既存不適格建築物であれば、重要事項説明でその内容が宅地建物取引士から説明されます。

しかし、違反建築物については、不動産会社が見落としているケースがあります。

大手不動産が見落とすケースは少ないですが、中小の不動産会社では違反に気付かず売買されているケースが少なからずあります。

例えば、容積率は昭和46年に適用になりましたが、住宅地下室の容積不算入は平成6年6月に施行されています。平成6年6月以前に建てられた建物が容積率をオーバーしているのに、地下は容積率不算入だからOKと判断してしまうなどのケースが考えられます。

本当に違反建築かどうかは、建築士等の専門家が詳細な調査をしてみないと分からないため、違反建築物の見落としだけを理由に契約を解除したり、売主や仲介業者の責任を問うことは難しいのが現状です。

知らずに違反建築物を購入してしまうと、あとから違反建築物だと分かった時に急激な資産価値の低下が起きたり、収益物件ならば、違反が原因で入居者に何らかの形で不利益が生じた時(災害時の避難の妨げになるなど)に所有者が責任を問われることもあります。

以上のようなリスクを避けるために、中古物件を購入する場合には、事前に建築士などの専門家にチェックを頼む、インスペクションを活用することをお勧めします。

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