不動産

スプレー缶120本在庫処理から見える不動産賃貸業界の闇

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不動産賃貸業界の闇

札幌市豊平区で起きた爆発火災事故で、爆発が起きたのは不動産会社の店舗とみられています。

この爆発火災では飲食店などが入居する雑居ビルが全焼し、不動産会社の従業員や飲食店の客など計42人が重軽傷を負う大事故となっています。

報道の映像などを見ると、この規模の事故で今のところ亡くなった人がいないのは不幸中の幸いです。

事故の原因は、「消臭スプレー缶約120本の廃棄処理後、湯沸かし器を点けたところ爆発が起きた」とみられています。

冬の北海道とはいえ室内で100本以上のスプレー缶のガスを抜いていたというのは驚きました。

事故の原因とは別の問題で「どうして不動産仲介会社に消臭スプレーが約120本もあったのか?」ということが話題になっています。
この事故で不動産賃貸仲介業界の闇の部分が見えてしまったのではないでしょうか。

この記事では、不動産賃貸仲介業界の闇の部分を紹介したいと思います。

 

不動産賃貸業界で当たり前のように行われている不正行為

不動産賃貸業界で当たり前のように行われている不正行為
 

不動産賃貸業界の闇① 「不明瞭な消臭・抗菌費用」

今回の事故の原因となったとされている不動産仲介業者は店舗によっては入居の際の費用として、「消臭・抗菌代」を入居者に請求していたようです。

スプレー缶が120本も社内にあり、社員が処分をしていたことから、同社が消臭サービスを顧客と契約しながら実施していないケースがあることが報道されています。

スプレー缶の原価は1,000円程度と報道されており、このような不明瞭な初期費用は抗菌に限らず、たくさんあり仲介業者の収入源の一部になっています。
除菌・消臭は見た目ではやったのかやっていないのか分からないのでよく利用されています。

この除菌・消臭費の請求はこの会社に限ったことではないので他の仲介業者にも広がる可能性もあります。

不動産賃貸業界の闇② 広告費

仲介手数料は法律(宅建業法)で上限が決められています。
賃貸=家賃の1ヵ月+消費税

これは、不動産業者が何社間に入っても増えません。
1回の契約で貸主・借主が払う仲介手数料は家賃の1か月分ということです。

売買の場合の上限は売主・買主の双方から3%+6万円+消費税ですが、賃貸の場合は貸主・借主からもらう手数料の合計が家賃の1か月分と決められています。

不動産会社が2社契約にかかわった場合、家賃1ヶ月分を分けるのですから、4~5万円の家賃の部屋だと人件費や煩雑な事務手続きを考えると割に合わないことが多くなります。

宅建業法には「依頼者から特段の広告などの要請があった場合、その広告費などを併せて請求できる」という規定があります。
不動産仲介業者はこの規定を利用して広告費をもらっています。

賃貸経営をしている大家さんにとって、空室が続くのは非常につらい事ですから慣習だから仕方がないという感覚で払っている人は多いと思います。

問題は依頼者から広告の要請がなくても、実際に広告をしていなくても広告費をもらってしまうケースが多いことです。

不動産賃貸業界の闇③ 礼金の偽装

「礼金のっけ」というような言い方をされますが、例えば「敷金1礼金0」の物件に仲介会社が礼金1をのっけてお客様に紹介するというものです。
借主からすれば賃料1か月分余計に支払わされることになります。

大家さん側は自分の収支には影響がないので黙認している人が多いと思います。
乗せられた礼金は広告費などの名目で不動産会社の利益になります。

 

賃貸不動産業界のシステムは維持が難しくなっている

 
不動産業界破綻
 

不動産賃貸市場はデフレや供給過剰で家賃は下がり、敷金や礼金はゼロにしなければ入居者が見つからない物件が増えています。

入居者はネットで物件を探す時代になり不動産会社はたくさんのインターネット広告をする必要があります。

店頭にチラシを貼っておけばお客さんが入店してくる時代ではないのです。
インターネット広告掲載のための広告費が必要になり賃貸仲介だけで利益を上げるのは難しくなっています。

大家さんが直接賃借人募集するサイトがありますが浸透しているとは言えません。
入居者との直接契約は安全性の問題もあり、現状では不動産会社を利用しない限りオーナーも入居者も賃貸契約はできないのが現実です。

賃貸契約をするためにどうしても必要な不動産会社も採算が合わなければグレーな手法やブラックな方法で利益を上げるしか会社を存続できなくなります。

会社を存続させるために従業員がブラックな働き方をさせられるかもしれないのです。
大手の仲介会社ですら夜8時半に店長と従業員がスプレー缶のガスを抜いていたという労働条件です。

働いている人が不幸な会社(業界)はその不幸がサービスの低下で顧客に戻ってきます。
労働条件が悪いということは顧客側にも影響してしまうのです。

賃貸の場合は貸主・借主からもらう手数料の合計が家賃の1か月分と決められていますが、不明瞭な費用のやり取りをされるくらいなら両手成約を認めてもいいのではないかと思います。

そのうえで、入居者募集にかかった費用の実費は請求できることにすればいいのではないでしょうか。

今年はスルガ銀行関連の不動産業者の不正が発覚しました。
年末に、新たな不動産会社の不正が疑われる事件が起きたわけです。

不動産会社の数は約123,000社、ちょっと多過ぎるのではないでしょう。
不動産業界に自浄能力はありませんから、物件紹介など主要な業務を行うためには宅建士資格を必要とするなど、参入障壁を高くしてスリム化して質を上げる規制強化は必要かもしれません。

証券会社や金融機関で金融商品の販売をするには証券外務員資格が必要です。
保険会社では保険募集人資格が必要です。

不動産会社では、契約時の重要事項説明書以外には何の資格も必要ありません。
他の何よりも高額な不動産は何の資格も必要なく販売できるのです。

物件紹介の時点から、宅建士の資格を必須とするくらいの不動産営業の質の向上がなければ不動産業界は変われないのだと思います。

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