前回に続いて、不動産業界の広告の問題点について説明します。
前回、不動産の広告は売主が掲載の可否を選択できない、売却を依頼した会社だけしか広告をしないことが問題だと書きました。
この記事では、不動産のおとり広告について説明します。
おとり広告とは、客寄せのための架空広告のことです。 最も悪質な不当表示として、広告規約で禁止されています。
目次
おとり広告の大半は成約済み物件の放置
おとり広告というと、架空の優良物件を掲載して、問い合わせを得るイメージがありますが、架空物件の掲載はおとり広告の中で極めて少数です。
おとり広告で多いのは、広告不可と言われいる物件を無許可で広告して、在庫確認を怠ってしまうことで起きる消極的なおとり広告です。
無許可で広告を掲載するような会社なので、在庫の確認も適当です。
成約済みでも、ネットに広告が掲載され続けおとり広告となってしまいます。
公正取引委員会から処分を受ける会社の大部分は、成約物件のおとり広告です。
契約できない優良物件の広告を、あえて削除せずに集客を図っている不動産会社もあると思いますが、大半は在庫管理の不備によるものです。
成約した物件が掲載され続けると、消費者はその物件の情報を求めて問い合わせをして、個人情報が不動産会社に通知されます。
正当でない広告で取得した個人情報に、別の物件を紹介し営業をすることがおとり広告の問題点です。
おとり広告がアパートローンに悪影響?
一方で、このおとり広告の問題の本質と違った影響がでることがあります。
一部の不動産会社は、物件の成約前に契約物件が公告されていないか、血眼になって捜します。
そのような不動産会社の担当者は、契約物件の販売価格が金融機関に知れると、融資が通らなくなるから、広告が掲載されていると困ると言います。
契約書には売買価格が書いてあるはずですから、金融機関に広告されていた価格を知られたくないという事は、契約書を偽造してローンを申し込んでいるのでしょう。
広告は掲載されていない物件だから大丈夫と、契約書を偽造するようなローンを申し込んでその物件が無許可で広告されていたら・・・
もし、その広告を金融機関が見つけたら、一切の取引ができなくなるでしょう。
不動産会社の担当者が必死になってネット広告を探して、削除依頼をしていると思いますが、100%削除できるとも限りません。
物件のおとり広告とは関係ない物件購入者にも、こんな影響がでることがあります。もちろん、通常の手続きで融資の審査を受けている人には、何の影響もありません。
こんな事例を目にすると、不動産業界は改善しないといけないことがたくさんあると改めて思います。