人口減少社会での不動産投資と賃貸需要

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを境に首都圏の不動産価格は下落すると予想する意見が多くメディア等で取り上げられています。
その一因とされているのが人口減少です。

不動産賃貸業は家賃が収入源ですから借りてくれる『人』がいないと事業になりません。

この記事では、人口減少時代に不動産賃貸業はどう変わっていくのか考えます。

日本の人口減少の予測は?

人口

日本の人口について予測をしている日本人口問題研究所によると2015年を基準(100)としたときに2030年の人口減少が5%以内の都道府県は東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、滋賀、福岡、沖縄の8都県です。 

2045年には東京都以外はすべて100を切ってしまい、80%すら保てない地域が大半です。

出生率の若干の改善で、減少する時期はすこし遅れましたが、人口が減るという傾向は変わりません。

人口は減るものの世帯数は増加

人口は減るものの世帯数は増加

人口減少局面に入っても、世帯数は増えるという予測がでています。
世帯数は2023年まで増加を続け、その後減少がスタートします。

世帯数の増加は世帯規模の減少を意味していて単独世帯が増加することによって起こります。

特に世帯主が65歳以上の単独世帯が増加すると見られています。
(2015年との比較で2040年には270万世帯増加との予測)
これからは単身の高齢者向けの賃貸住宅の供給が増えるかもしれません。

不動産賃貸業のお客様は部屋を借りてくれる人

賃貸住宅、入居者

今までの賃貸物件と言えば単身者向けの1Kタイプが大半でした。
その理由はオーナーが目にする目先の数字です。

20㎡の1Kと40㎡の1LDKを比べると面積は2倍ですが家賃は2倍にはなりません。
目先の数字を良くするためになるべく戸数が多い方が好まれてきました。

しかし、これから人口が減ることは避けられません。
とりあえず1Kを作っておけばいい時代はもうすぐ終わるのかもしれません。

商品は顧客のニーズを想定して作るものです。
今までの賃貸市場の顧客はオーナーでした。

オーナー(顧客)が求める物件=利回りが高い単身者向けということで、物件が作られてきました。

物やサービスの対価をもらう時、顧客のニーズを把握して物を作ることは、マーケティングのセオリーです。

人口が減るこれからの時代は顧客=入居者という考えにならないと経営が成り立たないことになるでしょう。

物件が余り始めると、入居者のニーズに合わせなければ経営が成り立たなくなります。
リフォームをしたり、建て替えをして入居者のニーズを満たす商品を作る必要に迫られます。

いつまでも「部屋を貸してやってる」感覚では経営ができなくなるのです。

これからは賃貸市場のニーズ把握や経営の工夫が必要

ペット飼育可賃貸住宅

これからの不動産賃貸業は、入居者側にたって考える必要があるのだろうと思います。
建物を新築する場合やリフォームする場合には市場調査は必須です。

自分の持っている物件のあるエリアには、どんなニーズがあって、どんなタイプの住宅が多くて、どんなタイプの住宅が足りないか調べてみなければ、正しいデータは分かりません。

調査の結果、需給のギャップがある間取りをターゲットにしてリフォームしてみたり、入居者の層を限定した商品を作ってみるなどの工夫も必要でしょう。

近隣にペット可の賃貸住宅が少なければ、ペット飼育可の賃貸住宅として広告をして、他の物件と差別化をしてみるのも一つの手段です。

高齢者をターゲットにするなら、バリアフリーにするのはもちろん、建物が法定の規模・設備に対応可能、でサービス提供事業者と提携ができるなら、サービス付き高齢者向け住宅も検討できるかもしれません。

サ高住なら自治体によっては補助金制度を利用することもできます。
参照
東京都サービス付き高齢者向け住宅整備事業補助金交付要綱

他にはセーフティネット住宅に登録し、住宅確保要配慮者を受け入れることで、入居者を確保することも選択肢のひとつです。

登録できる住宅には一定の要件がありますが、改修のための助成金を受けられる場合もあります。
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業

不動産賃貸業は長期間の運営で利益をだしていくものですから、工夫次第で安定した運営ができることもあれば、周りの物件と価格競争になり想定していた収益を得られないこともあります。

どんなに想定利回りが高くても、想定した家賃がもらえなければ、その投資は失敗だったということになります。

目先の数字だけではなく、長期間運営できる物件なのか、物件の取得やリフォームの段階でしっかり検討する必要があります。

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