昨年12月8日、与党は2017年度税制改正大綱を決定しました。
今回の税制改正で、不動産オーナーに影響のある改正点をとりあげてみます。
目次
2017年度税制改正主な改正点
今回の税制改正大綱は主に
①構造変化を踏まえた個人所得課税改革
②デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置
③中小事業者支援・地方創生の推進
④租税回避の効率的な抑制
⑤車体課税の見直し
この5つを柱としています。
不動産オーナーと特に関連があるのは①個人所得税改革④租税回避の抑制です。
個人所得税改革
今後数年で所得税の控除全般の改革に取り組むとしています。
まずは、2018年1月から配偶者の年収上限を、現行の103万円から150万円に引き上げます。
配偶者控除の適用の範囲内である年収103万円の壁を150万円に拡大して、働きやすくしようという改正になります。
ただ、社会保険の扶養の範囲内になる130万円の壁は改正されていません。
今までは、いくら所得が高くても、配偶者の所得が控除を受けられる範囲内であれば、配偶者控除を受けることができましたが、所得金額による制限ができました。
合計所得金額が、1,000万円超となる人は配偶者控除が適用されなくなります。
不動産オーナーの給与所得+不動産所得が、1,000万円を超える人は控除が受けられなくなり税金が高くなります。
租税回避の抑制
タワーマンション購入で相続税節税
タワーマンションの固定資産税・不動産取得税が、実際の取引価格の傾向を踏まえて補正する内容で見直されます。
マンションの固定資産税の評価は、建物全体の評価を床面積で按分して計算することになっています。
そのため、低層階と高層階が同じ評価になることがありました。
実際の市場価格は、低層階と高層階では同じ面積でも大きな価格差があります。
そのため、固定資産税評価額で評価される相続税評価は低くなるとして、相続税の節税に目的で購入するタワマン節税が横行しました。
そこに改正が入ったわけです。
高さが60メートルを超えるマンションについて、1階を100として階が増すごとに10/39を加える補正が行われます。
10/39=約0.256ですので、現実の価格差とはかなりの開きがあります。
(1階が5,000万円の場合、50階は5,640万円)
この程度の改正なら、まだまだ節税目的での購入は進みそうです。
広大地補正の見直し
他には、「相続税等の財産評価の適正化」として、広大地補正の見直し案が盛り込まれています。
広大地補正は評価の減額割合が大きく、取引価格と大きく乖離している事例が多数発生しています。
そのため、富裕層の節税策に利用されているということで、タワーマンションの評価補正とともに見直しがされることになりました。
相続税の「5年ルール」を「10年ルール」に見直し
評価の適正化だけでなく、海外移住に伴う相続税の「5年ルール」を「10年ルール」に見直します。
今までは相続する人、相続される人が海外に移住した場合でも、過去5年以内に日本国内に住所があった場合には、全財産に相続税がかかるルールになっていました。
この「過去5年」を「過去10年」に見直します。
過度な節税を防ぐ方向に進んでいるようです。
あと1か月もすれば、確定申告の時期がやってきます。
不動産賃貸業と税金は、切っても切れない関係です。
影響がありそうな税制についてはチェックしておいてください。