高齢者入居の不安を解消!孤独死による残置物処理問題を解決する「モデル契約条項」

近年増加する孤独死による残置物問題。相続人との連絡トラブルや多額の処理費用など、不動産オーナーにとって大きな負担となっています。

このような問題が起きるのが嫌で高齢の単身者の入居を避ける不動産オーナーがいるため高齢単身者が家を借りることが難しくなります。

参考記事 ➡ 不動産オーナーが感じる高齢者入居の不安

この残置物リスクを解決するために国交省が残置物の処理等に関するモデル契約条項を策定し公表しました。

この記事では、孤独死が起きた場合の残置物処理の現状とモデル契約条項の内容を説明をします。

この記事の著者⇩

この記事の著者は不動産実務歴20年のファイナンシャルプランナーです。

増加する孤独死による残置物処理問題

近年、高齢化社会の進展により孤独死が社会問題化しています。

賃貸物件で孤独死が発生した場合、残置物処理は大家にとって大きな負担となります。

単身入居者が死亡すると、入居者の有していた賃借権と居室内の残置物の所有権は、その相続人に相続されます。

相続人となる親族の存在や居場所が分からなかったり、親族と疎遠になっていて相続放棄などの手続きに協力的でなかったりすることによって賃貸契約が終了させられなかったり、残置物を保管しなければならないなどの問題が起きます。

現状では入居者がが亡くなった場合、賃貸借契約の解除・残置物の処理などのやり取りを相続人とします。相続人が複数の場合には全員と手続きをしなければなりません。

孤独死が起きると不動産オーナーはかなり大変な思いをするのが現状で、高齢の単身者の入居を避ける一因となっています。

残置物の処理等に関するモデル契約条項の内容

モデル契約条項の内容

国土交通省は、孤独死による残置物処理問題を解決するために、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しました。

この条項を賃貸借契約に盛り込むことで、以下のメリットを得られます。

  • 迅速な部屋の明け渡し
  • 費用負担の軽減
  • トラブルの防止

モデル契約条項のポイント

モデル契約条項は、以下の3つの契約から構成されています。

  • 賃貸借契約解除委任契約:賃借人が死亡した場合、受任者が賃貸借契約を解除する代理権を持つ契約です。
  • 残置物処理準委任契約:賃貸借契約終了後に残置物を処理する事務を、受任者に委託する契約です。
  • 賃貸借契約特約:上記2つの契約内容を賃貸借契約に盛り込む特約です。

モデル契約条項は、国土交通省のホームページからダウンロードできます。

↓国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000101.html

導入にあたっては、以下の点に注意が必要です。

  • 入居者への説明
  • 受任者の選定
  • 契約書の締結

専門家のアドバイスを受けながら、適切な手続きを進めることをおすすめします。

入居者・受任者がやること

入居者がやること

  • 廃棄する家財と廃棄しない家財(相続人等に渡す家財)を整理する
  • 廃棄しない家財であることを受任者が認識できるようにする
  • 家財を渡す相手の住所等の送付先が分かるように準備する

受任者がやること

  • 把握できている相続人が引き続き居住することを希望するかどうか等の事情を確認した上で賃貸借契約を継続させる必要がなければ、賃貸人と合意の上で賃貸借契約を解除する
  • 廃棄する家財は入居者の死亡から一定期間(少なくとも3か月)が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に廃棄することができる
  • 廃棄しない家財は入居者から指定された相手に送付する

まとめ

  • 現状では孤独死が起きた場合の残置物処理には時間と労力がかかる
  • モデル契約条項を活用することで単身の高齢者に家を貸すことのリスクが軽減できる

高齢者が賃貸住宅への入居を断られることは社会問題化しており、国交省も心理的瑕疵についてのガイドラインを策定するなど対応を始めています。

参考記事 ➡ パブコメ開始の事故物件のガイドライン案 内容を解説します。

モデル契約条項は、大家さんと高齢者にとってメリットがある画期的な条項です。

大家さんは、モデル契約条項を積極的に活用し、高齢者への入居を検討することで、安定経営と社会貢献を両立することができます。

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