定期的に似たような内容の記事がでますが昨年12月にこんな記事が掲載されました。
自己破産する家主が増加「業者にカモにされた医者や外資系サラリーマン」

大まかな内容はフルローン(オーバーローン)が組めるからといって、地方の1棟RCに投資をしてしばらくすると収支が悪化、その後破綻というものです。

昨年の夏に話題になった「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔」と似たような話です。

この記事については当ブログでも取り上げました。
参照
「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔①
「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔②

定期的に出てくるこの話題ですが、原因は楽観的なシミュレーションです。

今回は「不動産業者の作ったシミュレーションは信用できるのか?」について説明します。

あり得ないシミュレーション 銀行評価済み・オーバーローンの罠

あり得ないシミュレーション 銀行評価済み・オーバーローンの罠

 

無料相談でも「この物件買っても大丈夫?」という相談を受けることがあります。
そういう物件は、ほぼ100%楽観的なシミュレーションで利益の出る物件に仕上げられています。

そして多くのケースで、銀行の評価済み・自己資金ゼロで購入できると言われて購入するか迷っています。

フルローンが組めるのは、積算評価が高いからですが、積算評価は物件の収益性とは無関係です。

このブログで何度か申し上げていますが、「フルローンが組める物件=良い物件ではない」のです。

このような物件のシミュレーションは
・所得税・住民税が考慮されていない
・修繕のための費用が考慮されていない
・なぜか30年間家賃がほとんど下がらない
・入居率が常に高い
・入居者募集の費用がかからない 

などよく見るとあり得ない条件で試算されています。
所得税・住民税については、出ていくお金として全く考慮されていないか、一律20%で試算されています。

本業の年収が高い人は、税率が20%よりも高くなることがあり、その場合には収支が悪くなります。

建物が古くなれば家賃が下がるのは当然ですし、常に満室稼動の物件はありません。

地方の物件は修繕費の回収期間に注意

地方の物件は修繕費の回収期間に注意

 

特に地方のRC物件の場合、修繕費が経営を難しくします。

東京都や神奈川県などの都市部と比べて地方の家賃は安くなります。
場所によっては半額です。
しかし、修繕工事の費用が東京都の半額になることはありません。

東京都では2か月で回収できる原状回復費用が、地方では回収に4か月かかる場合もあるのです。

購入当初は、経費を多く計上できますから運営も好調です。
しかし、築年数の経過で徐々に家賃が下がり経費は減っていきます。

融資は目一杯借りていますから、自己資金を使って借入割合を減らした人に比べて収支の赤字は早くやってきます。

そこに退去が重なったり、突発的な修繕が起きたりすれば、破綻が近づきます。
利回りが高い物件を、低金利で買わない限り誰にでも起こりうる話です。

地方のRCに投資をして成功している人もたくさんいます。
しかし、成功している人の多くは、リーマンショック後の物件が安い時期に、自身の高属性を利用して低金利の融資を受けています。

その時期には、収益還元で低金利のフルローン融資をしていた都市銀行があり、東京に住んでいる人が、良い条件で地方に投資をできる環境がありました。
現在の市況とは状況が違います。

VIP扱いは不動産業者の罠

VIP扱いは不動産業者の罠

 

私に相談にいらっしゃるお客様には、不動産投資は想像しているよりも儲からないと話しています。

「この物件は未公開物件であなただけに優先して紹介しています。」とか、「今なら金融機関の評価済みでオーバーローンで購入できます。」などと魅力的なことを言われると、悪い物件を勧められていると思えないかもしれません。

特別扱いされて悪く思う人はいないのです。
ただ、そこは冷静に立ち止まって下さい。

投資は自己責任で行うものです。
業者にカモにされて破綻する人にも責任はあります。

良い話をされている時ほど、冷静に現実にはあり得ない想定で試算されたシミュレーションでないか考えてみて下さい。

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