平成30年の「公示地価」が3月27日に公表され、関東南部を中心とする「東京圏」は住宅地、商業地ともに、5年連続で上昇しました。

特に東京23区ではすべて地点で地価が上昇しました。
荒川区や北区、足立区など都心からやや離れた区で上昇率が大きくなっていて、国土交通省は3年前の「JR上野東京ライン」の開業などで、交通の利便性が向上したことが要因だとしています。

東京圏と大きく括ると地価が上昇しているわけですが、場所によっては、まだまだ下落の続いている地点もあります。

地価が上昇している場所、下落している場所を比べてみると、不動産投資をする場所を探すために参考になる指標の影響が大きく出ています。

この記事では、地価の変動要因と不動産投資対象地の選び方について説明します。

土地の価格変動要因

 
地価の変動

土地の価格の変動には様々な要因があります。
金融・財政政策、税制や法律の変更、経済状況や需給のバランスなどの要因です。

例えば、リーマンショックなどの経済面で影響のある事件があると、地価が下がる「経済要因」や新しい電車の路線ができる、新しい道路ができるなどの要因で需要が増えることによって価格が上昇する「需給のバランスによる要因」などがあります。

地価の変動から投資対象地の判断をする

投資用物件探し

地価変動の要因のうち、個別の地域に影響のある需給のバランスに着目すると、投資対象地として適切かどうか判断ができます。

神奈川県の住宅地を例にして地価の変動を見てみると、神奈川県全体では0.1%の上昇ですが、横浜市(1.0%)、川崎市(1.4%)、相模原市(0.8%)の都心へのアクセスに優れた地域は上昇率が高くなっています。

他には利便性に優れた大和市や駅前再開発の進む海老名市では上昇率が高くなっています。

都心へのアクセスの悪い三浦半島や県西部は下落が継続し、二極化、都心回帰がさらに進行しています。

この傾向は千葉県、埼玉県でも同様です。

神奈川県が発表した概要でも「都心アクセスに優れ、駅徒歩圏内で利便性が高く、地勢が平坦な住宅地では、需要は堅調であるが、総額がかさむ地点では、高値警戒感から需要に一部弱さも見られる。

また、都心アクセスに劣り、駅徒歩圏外で利便性が低く、地勢に起伏のある住宅地では、人口減少・高齢化が進行し、依然として下落幅が大きくなっている。」とされています。

地価の上昇している地域はアクセスが良い場所のため人口流入があり、駅徒歩圏内では需要が高くなります。
人口が増えることで経済的にも活性化されます。

経済が活性化すると商業地でも好立地の物件への新規出店意欲が強くなり、店舗賃料は堅調となります。

地価の下落している地域はアクセスの悪さから人口減少が起きている可能性が高く、採算があわなくなった公共交通機関の減便などがあればさらに利便性が下がり、さらに人が減るという負のスパイラルに陥ります。

賃貸需要の高い場所の共通点は以下の3点です。
1.通勤・通学などの交通のアクセスの良さ
2.地域の人口の多さ・若年層の人口流入
3.居住するには買い物も金融機関も学校もあって便利な場所

現在、地価の上昇している場所は上記の3点を備えている場所ですから、投資をする場所として適していると言えます。



融資状況が変わりつつある中で不動産投資を考え直す時期

アパートローン

日銀のアパートローンへの警戒感やシェアハウスへの融資問題などで、不動産投資への融資は大きく変わっていく可能性があります。

今までは、「フルローンやオーバーローンを利用できる物件」という条件で物件を探している人がたくさんいましたが、融資状況は少しずつ厳しくなっています。

昨年から金融庁が「アパートローンの監視を強化している」という報道が度々されてきました。

今後、金融機関の融資基準や担保評価の方法が変わる可能性があり、現在金融機関が融資をしている物件が利益確定をする数年後に同じように、融資を利用できるか分からないという状況になっています。

物件を売るときに融資が利用できないということは、需給のバランスで物件価格に大きな悪影響を及ぼします。

これからは、融資が組めるという理由で物件の良し悪しを判断するのではなく、不動産が持つ本来の価値である立地や収益性に注目して、物件を探す時期にきているのではないでしょうか。

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