アパート・マンション経営の収支を左右する経費(支出)について、種類や割合、地域差などのポイントを解説します。また、実質利回りの計算方法と重要性についても説明します。
目次
表面利回りと実質利回り
アパート・マンション経営の収支を示す指標として、利回りがあります。利回りは、投資対象の不動産の価格と、そこから得られる賃料収入との関係で表され、次の2つの利回りがあります。
- 表面利回り:年間の総収入÷総投資額×100
- 実質利回り:年間の総収入-経費÷総投資額×100
販売図面やネット広告などに書いてあるのは「表面利回り」です。
実質利回りは、仲介会社などから前年の経費を確認したり、経費がこのくらいはかかるだろうという予測の基に計算をします。
この経費(アパート・マンション経営の支出)の大小が不動産投資の収支に大きく影響します。
アパート・マンション経営の経費(支出)の種類と割合
アパート・マンション経営にかかる経費は、大きく分けて以下の10種類に分けられます。
- 税金
- 損害保険料
- 修繕費
- ローン返済
- 地代・家賃
- 手数料
- 委託管理費
- 各種点検費用
- 水道光熱費
- 広告宣伝費
これらの経費の割合は、物件の立地や規模、管理方法などによって異なります。一般的には、賃料の5~10%程度が経費としてかかると言われています。
経費率は地域差に注意
経費率は地域によっても差があります。例えば、東京と地方の比較をすると、同じ面積でも家賃は半分というのがよくあることです。同じ面積なら、同じ原状回復工事をすれば、同じ費用がかかります。
物価の差などを考慮しても、地方だから原状回復費用が半額ということはないでしょう。
例えば、月額の賃料が50万円で同スペックの1Kタイプのアパートが東京と地方にあるとします。
東京の家賃が5万円だとしたら、10室のアパートということになります。家賃が半額だとすると、地方都市の物件は20室のアパートです。
年間10%の入居者が入れ替わるとしたら、東京のアパートは1室、地方のアパートは2室入居者の入れ替えがあります。
単純に原状回復や新規入居者の募集の経費は、東京の倍かかることになります。
極端な例をあげましたが、地域の賃貸需要や入居者の属性など、実態にあった経費割合を選択する必要があります。
アパート・マンション経営は投資ではなく事業
アパート・マンション経営は、不動産投資ですが、投資ではなく事業という意識を持つことが重要です。
賃貸物件を所有した瞬間から「不動産賃貸業」という事業が始まります。
家賃収入が入ってくるので比較的安定していますが、事業の継続のためには物件の管理・修繕のための支出や、トラブルが起きた時のリスク管理のための保険の支出があります。
予想外の設備の故障などのための資金の確保も必要となります。
ローンが組めるから、利回りが高いから、積算評価が高いからといった条件だけでなく、その物件の運営には、どのような費用が必要なのか、必ず事前に確認をしてください。
副業や投資ではなく、事業をするという意識をもって物件を購入することが、失敗を防ぐ手段になります。
まとめ
アパート・マンション経営の収支を左右する経費(支出)は、種類や割合、地域差など、さまざまなポイントがあります。
実質利回りを計算し、十分な収益が見込める物件を選ぶことが大切です。また、アパート・マンション経営は投資ではなく事業という意識をもって、事業計画を立てることも重要です。