日経新聞電子版にこんな記事が出ました。

一人暮らしの高齢者が大都市で急増している。日本経済新聞が国勢調査を分析したところ、三大都市圏(1都2府5県)は2000年以降の15年間で2.1倍の289万人に達し、15年に初めて世帯全体の1割を突破した。 ~2018/11/26  日経新聞電子版~

ひとり暮らしシニア増減マップ
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/elderly-single-dwellers-map/

国立社会保障・人口問題研究所によると「総世帯数に占める世帯主が65歳以上の一般世帯数の割合は,2015 年の36.0%から2040 年の44.2%へと大幅に上昇する」と公表しています。

高齢者の世帯が増える一方で不動産オーナー側は高齢者の入居に積極的ではないという調査が出ています。

この記事では、賃貸経営における高齢者入居とリスクヘッジについて考えます。

不動産オーナーが感じる高齢者入居の不安

不動産オーナーが感じる高齢者入居の不安
  • 家賃の支払いに対する不安
  • 単身高齢者の孤独死など死亡事故の不安
  • 室内での火災事故の不安
  • 近隣住人との関係性の不安
  • バリアフリーなどの環境が整っていない

オーナーにとって一番の不安は死亡事故や火災などで所有物件が事故物件になってしまうことです。

事故物件になってしまうと新しい入居者を募集する時に、その事実を告知する義務があります。場合によっては賃料は半額くらいになり、入居者を見つけるために長期間を必要とする可能性があります。

次の入居者への賃貸契約に大きな影響があるだけでなく、大島てるなどの事故物件サイトにデータが残ってしまうと、今後数年に渡って家賃が下がる、入居者が見つかりにくいなど賃貸経営に悪影響が出てしまいます。

このような不安があることで高齢者の入居に積極的になれないオーナーが多いのだろうと思われます。

安心して入居してもらうための工夫

安心して入居してもらうための工夫

①見守りサービス

見守りサービスの多くは親族が高齢の親を心配して利用することが前提ですが、
不動産オーナーや管理会社が利用できる見守りサービスもあります。

高齢者入居の場合には入居時に加入を条件とすることで対応します。

②センサー付設備

電気・ガスの利用料やドアのセンサーなど設置しているセンサーによって生活状況を確認するタイプの設備があります。

カメラのついている設備はプライバシー保護の問題があるので不動産オーナーや管理会社が利用するよりは親族に加入してもらうことが現実的です。

③孤独死保険

いくら設備などで対策をしていても賃借人が亡くなる事故は100%防ぐことはできません。賃貸住宅内で孤独死等の特定事由事故が発生した場合、空室期間や値引期間の家賃の損失、原状回復費用、遺品整理等費用が補償される保険があります。

人口減少時代の賃貸経営では高齢入居者も大切なお客様

賃貸アパート

高齢者や低額所得者等の入居を拒まない「新たな住宅セーフィティネット制度」が創設されていますが、2018年11月末時点でホームページ「セーフティネット住宅情報提供システム」上での登録件数は5,842件です。(うち大阪府が4,518件)
※東京都はわずか275件

この数字を見る限りセーフティーネット住宅は足りていないことは明らかです。

雇用が東京に集中している状態ですから、やむを得ず高齢の親と同居できない人は多いと思います。

実家のメンテナンスなどの事情から自宅をダウンサイジングして子供の家の近くの賃貸に引越したい高齢者も増えるかもしれません。

今後、高齢者の賃貸需要が増えることは明らかですからリスクヘッジすることで高齢入居者とうまくつきあっていければ経営面のプラスだけでなく大きな社会貢献にもなります。

賃貸市場は物件が増え続け供給は飽和状態です。
もし上手にリスクを回避できれば、「高齢者入居」は空室対策として有効と言えます。

 

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高齢化社会の賃貸経営とリスクヘッジ” に対して1件のコメントがあります。

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