賃貸物件の入居費用は交渉で安くできる?

賃貸物件へ引っ越しをする際にかかる初期費用を出来るだけ抑えたい方は多いですよね。
この記事では、住みたい物件が見つかって賃貸契約をする際、初期費用として払う項目にはどんなものがあるのか、初期費用を節約して賃貸物件をお得に借りるテクニックはあるのか説明します。

賃貸物件を借りる時に必要な主な初期費用

賃貸物件の初期費用

①仲介手数料

家賃0.5か月~1か月分+消費税。
物件の内覧や契約業務を行った不動産会社に支払います。

②敷金

家賃1か月~2か月分。
部屋を退去するときの原状回復費用を前もって預けておくものです。
原状回復にかかった金額が差し引かれて戻ってきます。
ペット飼育可の物件は原状回復費用が高額になることが多いので、敷金が高くなる傾向があります。

③礼金

家賃1か月~2か月分が目安。部屋を所有する大家さんに対して支払います。
退去時に返還されません。最近では礼金なしの物件も増えています。

④前家賃

入居する月の家賃を前払いで支払います。月の途中から入居する場合は、日割りで計算します。

⑤火災保険料

火災や水漏れトラブルなどに備えて加入する損害保険です。一般的な賃貸借契約書では加入を義務付けられているため必ず加入するものです。2年間掛け捨てで15,000円~20,000円が目安。不動産業者の指定ではなく、個人で選んだ保険に加入することが可能な場合もあるが、補償内容は指定の保険と同等の保険を選ばなければならない。

⑥保証会社の保証料

家賃が払えなくなったとき、入居者に代わって大家さんに家賃を立て替え払いする家賃保証会社への保証料です。家賃の0.5か月~1か月分が目安。
加入する会社によって保証料は異なり、年ごとに更新料がかかることもあります。
2020年4月の民法改正により、連帯保証人から保証会社利用の傾向が強くなっています。

⑦24時間コールセンター利用料

不動産管理会社や大家さんに代わって入居時に起きたトラブル(鍵、水道、ガスなど)に24時間対応してくれるサービスの利用料です。2年間で2万円程度が目安。

⑧鍵交換費用 

玄関ドアのシリンダー交換費用です。2万円程度が目安。

⑨引越し代

距離と荷物の量によって料金が変わります。

⑩その他(除菌、消臭、害虫駆除など)

入居前の除菌や清掃の費用を請求されることがあります。
北海道で除菌スプレーが爆発する事故が起きて問題視された結果、入居者への請求は減っていますが、いまだに入居者に負担させているケースもあるようです。

参考記事 ➡ スプレー缶120本在庫処理から見える不動産賃貸業界の闇

交渉して安くなる初期費用は?

交渉して安くなる初期費用は?

初期費用には交渉の余地がないものがいくつかあります。
前家賃、敷金、火災保険料、保証会社の保証料はそもそも交渉ができない(する意味がない)ものとして考えていいと思います。

前家賃と敷金は先に払うか後で払うかの差でしかないですし、火災保険料は同じ補償内容なら大きな金額差はありません。

保証会社は連帯保証人でも良いという場合を除いて、加入しないという選択は難しいですし、借りる側に選ぶ権限がないので交渉が成立しないでしょう。

他の初期費用は交渉の余地があるものと考えられます。

①仲介手数料

法規制により仲介手数料には上限があります。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする。 

国土交通省告示

原則は賃料の1か月分が仲介手数料ですが、仲介業者が受け取る合計金額が賃料の1ヵ月分以内である限りは、承諾があれば、どちらからいくらもらっても良いということです。

実務上は、丁寧に家賃の1か月分を仲介手数料とするということはせず、賃貸の媒介契約書や入居申込書に家賃の1か月分を支払うと書いてあり、入居者はよくわからないうちにサインをしているというケースが多いように思います。

もともと0.5か月分しかもらわないと決めている不動産会社もありますが、その多くは自社の顧客である大家さんから0.5か月分もらえる物件しか紹介しないため、入居者からは0.5か月分しかもらえないという会社です。

部屋を探す側としては仲介手数料は0.5か月で済むけれど、部屋の選択肢は減るということになります。

気に入った部屋を見つけて申し込みをした後で、仲介手数料は「0.5ヵ月分しか支払わない」と交渉した場合に不動産会社がとる対応は下記の2つとなります。

・仲介手数料を1か月分払わないと契約しない
・不動産会社側が交渉に応じて0.5か月で契約する

都心の好立地や駅の近くなどで人気のある物件を検討する際には、契約が成立しない(部屋を貸してもらえない)可能性があることを頭に入れておく必要があります。

仲介手数料の話に限らず、人気がある物件は、オーナーと不動産会社側の言い値で入居が決まっていくことが多く、交渉の余地がないことがほとんどです。

乱暴な言い方をすれば、いくらでも入居希望者はいるから条件交渉など受ける必要がないということです。

交渉をするときには、その物件が「どれだけ人気のある物件なのか」ということを知っておくことが大切です。

②初期費用交渉の狙い目は「礼金」

礼金とは、賃貸の契約時に貸主に対して「お礼」として支払うお金です。

礼金は法律上で支払わないといけないという義務はない一時金のため、比較的交渉しやすい初期費用です。

「入居者が決まるなら礼金くらいまけてあげてもいいかな」という大家さんもいるので、ダメもとで交渉してみても良いでしょう。

最近の傾向として、礼金は大家さんがもらうお金というよりは、不動産会社への広告費の支払いにあてるための費用として利用されています。

不動産会社のもらう報酬のうち、仲介手数料には法令上の上限がありますが、広告費はその法令の枠外でもらうことができる報酬となります。
(広告費自体は合法ですが、広告費を成約報酬のように受け取ることは宅建業法上はグレーな部分ではあります。)

不動産会社によつては礼金を上乗せして請求してくるケースもあります。
礼金ゼロの物件を「1か月」として紹介して、上乗せした礼金を広告費としてもらうのです。

今はインターネットに多くの物件情報が載っているので、この手法は減っていますが、気に入った部屋を見つけたら、インターネットで検索をして礼金が上乗せされていないか確認してみましょう。

③24時間コールセンター

24時間コールセンターなんていらないという入居者は多いと思います。
実際、入居期間中に設備が壊れたり、トラブルがなければ連絡することもないだろうと思います。

コールセンターを利用して助かるのは対応を外注できる管理会社や大家さんです。
本来は管理会社や大家さんが費用を負担するべきものかもしれません。

だからといって不当な費用かと言われるとどちらとも言えません。
コールセンターを利用している場合、その分の人員は削減できます。

費用を払いたくないから管理会社や大家さんに対応しろと言っても、コールセンターを利用するシステムで管理をしている以上、不可能ですし、対応してあげる理由もないのです。

設備が壊れたり、トラブルが起きても、管理会社や大家さんが暇な時に対応してくれれば良いというくらいでなければ、交渉の対象にするべきものではありません。

④鍵交換費用 

鍵交換は交渉してもセキュリティ上の都合で断られるケースが多いでしょう。
通常、前入居者が退去する際には保有していた鍵をすべて回収しますが、前入居者が鍵を全て返しているとは限らないからです。

勝手にスペアキーを作られていても管理会社は気づきようがないのです。
防犯上、鍵交換は行うことをお勧めします。

賃貸物件の入居費用は安くできる? まとめ

賃貸物件の入居費用は安くできる? まとめ

賃貸物件の入居費用は交渉次第で安くなるものがあります。
しかし、交渉する場合には以下の注意点があります。

  • 「部屋を探しているのはあなただけではない」
    ⇒指定された条件で借りるひともたくさんいるため交渉の結果、部屋を借りることができないこともある。
  • 「閑散期を狙う」
    ⇒繁忙期は部屋を探す人が多く、不動産会社も忙しいため家賃や初期費用の交渉をする人は後回しにされるか相手にされないことがあります。
  • 「そもそも交渉の対象にならない初期費用もある」
    ⇒火災保険料や保証会社の保証料は交渉の対象とはならないものです。

大切なお金の問題ですから、なるべく安くしたいという気持ちは分かります。
しかし、初期費用の交渉にこだわりすぎると入居自体を断られたり、交渉に応じるしかないような人気のない物件しか選べなくなる可能性もあります。

快適な生活とお金の問題のバランスを考えて交渉をしてみましょう。

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