平成27年1月から相続税の基礎控除額が引き下げられた影響で、相続税の納税対象者が大幅に増えました。
この改正によって、アパートオーナーになると相続税を払う側になる可能性が高くなりました。
この記事では、相続税の計算方法と不動産オーナーに必要な相続対策について説明します。
目次
相続税の基礎控除引き下げで納税対象者は前年の2倍に
平成27年1月から相続税の基礎控除額が引き下げられた影響で、平成27年に死亡した人のうち遺族などに相続税の納税義務が生じた人の割合は、現行の課税方式になってから最も高いおよそ8%となりました。
前年の約2倍の人が相続税の納税義務者になったのです。
この仕事をしていると、いわゆる「地主」という人と話をすることがあります。
地主のみなさんは、相続が起きると多くの場合に相続税の納税義務者となります。
地主のみなさんは、相続税を減らす(財産評価を下げる)努力はしている人が多いのですが、相続税を払う準備をしている人は少ないのが現状です。
相続税の計算方法
まず相続税の計算方法はざっくりとこんな感じです。
①正味の遺産額を計算
土地・建物や預金等の財産から借入金や未払金等の債務を引いたものが正味の遺産額になります。
現金は持っている金額がそのまま遺産額になりますが、不動産は土地・建物を分けて、それぞれ計算されます。
賃貸用の不動産は自宅と比べて評価が低いため相続税対策としてアパートの建築が行われたりします。
②課税遺産総額を計算
①の正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産総額になります。
③按分
分け方は自由です。
④按分された遺産の額に税率をかけて相続税を算出します。
被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告し納税します。
一番必要な対策は納税源資の準備と負動産の物件の処分
地主さんは①の財産の評価額を下げる対策ばかりをして④で必要な納税資金を準備していないことがあります。
その場合には、不動産などの一部を現金化しなければなりません。
せっかくの資産を急いで安売りしないためにも、納税源資の準備は必要です。
相続したアパートの管理のご相談を受けることがありますが、ひどいケースでは相続した時点でアパートが空室だらけで赤字だったり、数年後には、計上できる経費の減少で収支が赤字になるという相続したくない物件があります。
これから人口は減少し、住宅が余る時代がやってきます。
不動産賃貸業の経営者として、相続人のために相続したくないような物件を残さない物件選定をしてください。
もし、将来の見通しが負債になるような物件は、相続財産になる前に処分しておいてあげることも必要です。
そのうえで、生命保険などを活用して納税源資を確保しておくこと、できるだけ共有名義での相続を避けるような分散をすることなど、対策できることがあります。
相続というのは人が亡くなって起きることなので、日本人の倫理観からか事前の準備について話し合うことが敬遠されがちです。
不動産を資産として、残す側が対策をしておいてあげることが必要なのだと思います。