土地の価格を知るには不動産会社に査定を依頼するしかありません。
しかし、不動産会社に査定を依頼すると、後でしつこく営業かもしれないと感じて、気軽に頼むことはできないだろうと思います。

土地の価格には、固定資産税評価額・路線価・公示地価・基準地価・実勢価格があります。
実際の取引価格は、実勢価格ということになるのですが、レインズを見ることができない消費者には、実勢価格を知ることができません。

この記事では、消費者が土地の価格を調べる方法について解説します。

たくさんある土地の価格指標

公的な土地価格

公示地価

①路線価
http://www.rosenka.nta.go.jp/

②公示地価・基準地価
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0

③固定資産税評価額
www.chikamap.jp

④不動産取引価格情報
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

一般的な目安として路線価は公示地価の80%程度、固定資産税評価額は公示地価の70%程度と言われています。

あくまで税金を取るための基準価格なので低く設定されているということでしょうか。

民間が公表している土地価格

①不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME'S
https://www.homes.co.jp/tochi/price/

②不動産・住宅サイト SUUMO 
https://suumo.jp/tochi/soba/

③野村不動産アーバンネット価格動向調査
https://www.nomu.com/knowledge/chika/

野村不動産アーバンネット価格動向調査は対象地の営業店舗から聞き取りをした価格とのことですのでまさに実勢価格です。

HOME’SやSUMMOは広告掲載された物件の価格に調整を行って相場を算出しているとのことですので比較的実勢価格に近いのだろうと思います。

公的価格と実勢価格を比較してみる

日本地図、土地

例① 目黒区鷹番(東急東横線「学芸大学」駅)
A:路線価 580,000円
B:公示地価 829,000円
C:HOME’S 935,700円
D:SUMMO 996,700円
E:野村不動産 1,082,600円
F:レインズ 923,000円(H27)→1,092,800円(路線価の上昇率で補正)
実勢価格(C~Fの平均) 1,025,000円 公示地価の124%

例② 八王子市子安町(JR中央線「八王子」駅)
A:路線価 220,000円
B:公示地価 278,000円
C:SUMMO 229,000円
D:野村不動産 264,400円
E:レインズ 246,800円(H27)→258,400円(路線価の上昇率で補正)
実勢価格(C~Eの平均) 250,600円 公示地価の90%

例③ 仙台市泉区桂(仙台市地下鉄南北線「泉中央」駅)
A:路線価 75,000円
B:公示地価 97,000円
C:SUMMO 141,800円
D:レインズ 106,300円(H28)→113,800円
実勢価格(CDの平均) 127,800円 公示地価の131%

例④ 広島市中区白島九軒町(JR山陽本線「新白島」駅)
A:路線価 245,000円
B:公示地価 325,000円
C:SUMMO 406,900円
D:レインズ 411,000円(H30)
実勢価格(CDの平均) 408,950円 公示地価の125%

例⑤ 岐阜県恵那市長島町中野(JR中央本線「恵那」駅)
A:路線価 40,000円
B:公示地価 49,800円
C:SUMMO 52,200円
実勢価格(C) 52,200円 公示地価の104%

5件ほど比較のために事例を出しました。
実勢価格は公示地価・基準地価よりもやや高いことが多く、都市部など需要の高い地域ほど乖離が大きいことが分かります。

需要のある(土地の価格の高い)場所で乖離が大きくなる理由の一つとして公示地の土地の面積が考えられます。

例えば①の目黒区鷹番の事例では公示地の面積は200㎡です。
200㎡×829,000円(公示価)だと16,580万円ということになりますが、15,000万円を超える土地を買える人は限られます。

実勢価格を考える時は80~100㎡程度を想定するのが現実的です。
需給のバランスで手頃な面積ほど土地単価は高くなるということが乖離の大きくなる理由のひとつです。

需要の高い地域ほど手頃な土地面積の物件は競争が激しくなり単価が上がります。
23区などの需要の高い地域では公示地価で物件を探すとまともな物件が見つからない可能性が高いということです。

公的価格を使っておおまかな土地の価格を知る方法

電卓、計算

公的価格の中で実勢価格に一番近いのは公示地価ですが、公示地価は数が少なく、たまたま自宅の近くに公示地がなければ参考になりません。

そのため、公的価格を使って土地の価格を知るときには路線価を使います。
ただ、路線価そのものは実勢価格とは大きく乖離しているので使いません。

路線価の有用なところは、道路ごとに価格がついているということです。
道路ごとに価格がついているため、近隣の土地との比較ができます。

価格を知りたい土地の近隣に成約事例があれば、成約事例と価格を知りたい土地の路線価を比較することで、土地の価格を知ることができます。

①不動産会社を通じて価格を知りたい土地(査定地)の周辺で成約事例を手に入れる
②成約事例の価格と路線価を比較
③査定地の路線価と比較

目黒区鷹番の事例
取引事例地
路線価 640,000円
取引価格 923,000円(H27)→時点修正で1,092,800円
実勢価格は路線価の約1.7倍

査定したい土地の路線価が、600,000円だと仮定すると
600,000円×1.7075=1,024,500円

査定したい土地の近隣で成約事例が見つかれば、このように価格の試算ができます。

成約事例は、不動産会社を通してしか入手できないので、ポータルサイトに掲載されている物件の平均値などを使って、近隣路線価の平均との比較で試算をしても良いと思います。

土地の価格は、その土地個別の要素(土地の形・画地規模・相隣関係など)に加えて売主買主、それぞれの事情に左右される面も強く土地の価格を知ることは難しいですが、近隣の事例と路線価を比較して、おおまかな価格を知ることができます。

最近では、土地を評価額の3倍で買ってしまったとか、割高の物件をフルローンで買ってしまった、などの話がよく報道されます。

不動産の売却を検討している人や、購入を検討していて土地の価格を知りたい人は、自分の身を守るためにも、おおまかな土地の価格くらいは調べてみることをお勧めします。

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