先日、賃貸不動産経営管理士協議会から「FOLLOW UP」と書かれた封筒が届きました。
中にはサポートマガジンが1冊と他の資格の受験案内が多数。
不動産営業マンにスキルアップが必要なのは分かりますが、不動産業界は資格ビジネスよりも先にやることがあるだろうと思います。
それにしても資格の数が多すぎる。
不動産に関連する資格はたくさんありますが、こんなにたくさんの資格があると消費者もどの資格を信用したら良いのか分からないだろうと思います。
この記事では、不動産に関する資格と、その業務についてまとめてみます。
目次
こんなにたくさんある不動産関連の資格
専門性のある仕事では、その仕事をするための能力や知識が求められます。
その仕事をできる能力や知識があると認定する仕組みが資格制度です。
不動産は高額な商品であり、高い専門性を求められる業種のため、さまざまな資格があります。
不動産鑑定士
宅地建物取引士
マンション管理士
管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
不動産キャリアパーソン
相続診断士
相続知識検定マスター
相続支援コンサルタント
不動産カウンセラー
不動産戦略アドバイザー
土地活用プランナー
民事信託マスター
建築士(1級・2級)
土地家屋調査士
公認 不動産コンサルティングマスター
宅建マイスター
再開発プランナー
ビル経営管理士
不動産証券化協会認定マスター
CPM(米国公認不動産経営管理士)
競売不動産取扱主任者
他にもたくさんあると思いますが、思いつく範囲で書いてみました。
不動産に関連する独占業務資格
業務独占資格とは、ある業務に対して、ある資格を有する者のみが行うことができることが法律で決まっている資格のことです。
医師免許がないのに、医療行為をしてはいけないといったことです。
上にあげた不動産に関連する資格で、独占業務があるのは以下の5つです。
・不動産鑑定士(鑑定評価業務)
・宅地建物取引士(重要事項説明)
・管理業務主任者(重要事項説明・管理事務報告)
・建築士(設計・工事監理)
・土地家屋調査士(不動産表示登記・調査又は測量)
信頼できる資格、不動産営業に必須な資格はなにか?
独占業務がある資格の中で、不動産の営業マンが持っている可能性があるのは、宅地建物取引士ではないでしょうか。
私見ですが、宅建すら持っていない営業マンは、不動産を売買にかかわる資格はないと思っています。
それほど難しい資格ではないですし、契約時に自分が売る・買ってもらう物件の重要な書類の説明ができないのです。
5年以上の実務経験があるのなら、持っていなければいけない資格です。
宅建以外の資格も、知識を習得し、登録料などを払う必要がありますので、資格を持っているということは、それだけの意欲があるということです。
資格を更新するために、一定の単位(講習の受講など)を必要とする資格もあり、資格を維持するのはそれなりに大変です。
例えば、公認 不動産コンサルティングマスターは、更新までに3回の講習受講が必要です。
何らかの資格を持っている担当者は、知識の習得に意欲があると思って良いと思います。
難易度はさまざまなので、名刺をもらったら、担当者の保有資格を調べてみるといいでしょう。
不動産業界は資格ビジネスよりも先にやることがある
不動産の民間資格の多くは、不動産業者の一部が社団法人などを作って、資格試験や認定講座を行って資格を発行しています。
資格の認定・登録そのものがビジネスになっているケースもあると思います。
残念なことですが、今の不動産業界では、担当者のスキルで取引相手を選んでいる人は少ないでしょう。
「不動産営業マンの価値=物件情報の良し悪し」になっているのが現状です。
原因は、公開されている情報が少ないからです。
この業界の不透明な現状が、働く人のスキルアップへの意欲をなくします。
何の勉強もしなくても、物件情報が良ければ、取引ができて成績になります。
現状では、不動産営業として最も役立つスキルは、楽に売れる物件の情報を集めることです。
不動産取引に関する知識や倫理観はなくても、情報収集がうまければ、いい成績が残せるのです。
宅建の勉強よりも情報収集のために交流会に行く、宅建試験日にアポイントがあれば、アポイント優先で試験には行かない人がいるというのが現実です。
不動産業界の情報(特に物件情報)が広く公開されれば、消費者は物件情報を公平に入手できるようになり、取引相手として優秀な営業マンを選ぶでしょう。
営業マンに求めるのは情報ではなく、不動産取引のアドバイス(物件の注意点など)や、売主側との交渉などのサービスになり、営業マン側には知識と経験が必須となります。
情報公開が先に進めば、営業マンはスキルアップが必須となり、資格取得も進むのではないかと思います。
不動産業界の倫理観の欠如による問題がたくさん起きる昨今、不動産業界は、資格取得を促すために労力とお金を使うのではなく、情報公開のためのシステム作りに力を入れてほしいと思います。