不動産投資をするために物件探す時に、利回りを基準に物件を探す人は多いと思います。
利回りが高いということは、それだけ儲かるということですが、利回りが良い物件=優良物件ではないのです。
不動産投資において、利回りとはどのような考え方で設定されているのか説明したいと思います。
目次
不動産の表面利回りと実質利回り

不動産の利回りには、表面利回り(グロス)と実質利回り(ネット)があります。
表面利回りは、『物件の満室想定年収÷物件の価格』です。
広告に掲載されている物件は、表面利回りを掲載しています。
実質利回りは、『(年間収入-運営経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)』です。
運営経費には管理費・修繕費・固定資産税などが含まれます。
投資用不動産の利回りはどうやって決まる?
一般的に利回りは「無リスク資産の期待収益率+投資対象のリスクプレミアム」で決定されます。
難しい用語でよく分からないと思います。
無リスク資産とは、リスクのない投資商品、一般的には長期国債のことです。
リスクプレミアムというのは、投資対象固有の投資リスクに応じた安全係数のような概念で、安全確実な投資対象ほど低くなります。
日本の不動産で、最もリスクプレミアムが少ない(安全)と考えられているものは、東京都千代田区の丸の内・大手町地区で、最寄り駅から徒歩5分以内にある築5年未満の一定グレード以上の大規模オフィスビル(Aクラスビル)です。
(財)日本不動産研究所が半年に一度実施している「不動産投資家調査」によれば、平成27年10月現在の丸の内・大手町地区にあるAクラスビルの期待利回りは、3.8%とマーケット(投資家)は見ています。
同調査では、主たる政令指定都市の期待利回りは、横浜5.1%、名古屋5.3%、札幌6%などと不動産投資家が見ていることが分かります。
ちなみに、県庁所在地の中核都市として、宇都宮・秋田・大分が期待利回り7.4%とされています。
不動産の利回りは、「無リスク資産の利回り+不動産のリスクプレミアム」です。
不動産のリスクプレミアムは、不動産特有のリスク・不動産の所在地のリスク・各物件のリスクです。
不動産特有のリスクとは換金性の悪さです。
株式などと比べて現金化するためには時間がかかります。
これは不動産である以上、どこのどの物件でも変わらないリスクです。
所在地のリスクは、人口や人口構成、公共交通機関の整備状況、繁華性、その地域の賃貸需要などです。
各物件のリスクは、建物の築年数、保存状態、管理状態や入居状況、土地の価格・権利関係などです。
このようなリスクを考慮して、リスクプレミアムが決定し、無リスク資産の利回りとの合計が不動産の利回りという事になります。
利回りが高い物件=リスクが高い物件という意識が大切
利回りが高い物件=リスクが高い物件ということです。
ですから、投資のリスクと投資のリターンが折り合うところを見つける必要があります。
物の値段において、何の理由もなく価格が安いということはありません。
食品が安ければ、賞味期限や生産地を気にすると思います。
車が安ければ、故障や事故歴などが気になります。
不動産だけが何の理由もなく安く、利回りが高いことはありません。
利回りが高いということは、何らかのリスクがあるということです。
利回りが高い物件を購入するという事は、リスクが高い物件を運営しなければならないということを意識して、自分はどの程度のリスクを許容できるか考えてみて下さい。