不動産投資における法人化が注目されています。しかし、法人化にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
本記事では、不動産投資における法人化のメリット・デメリットを税制面を中心に詳しく解説し、最適な選択をするためのポイントを紹介します。
目次
不動産投資における法人化の必要性
不動産投資は、資産形成や老後の資金準備など、さまざまな目的で活用されています。近年、投資規模の大小に関わらず、法人化を選択する投資家が増加しています。
しかし、法人化にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
本記事では、不動産投資における法人化について、税制面を中心に詳しく解説し、最適な選択をするためのポイントを紹介します。
法人化のメリット
節税効果
法人化の最大のメリットは、節税効果が期待できることです。
サラリーマンの場合には不動産の収入と給与所得が合算されるため税率が高くなりがちです。一定以上の規模になると個人よりも法人のほうが支払う税金が少なくなります。
①不動産投資で個人が払う税金
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
②不動産投資で法人が支払う税金
- 法人税
- 地方法人税
- 住民税
- 事業税
- 地方法人特別税
資本金1億円以下で年所得が800万円の中小法人の場合、中小法人の軽減税率の特例適用後で、これらの実効税率はおよそ23.2%です。住民税、事業税などもふまえて計算される法定実効税率は約30%になります。
所得分散
個人事業主は、不動産所得と給与所得を合算して課税されます。一方、法人は社長に給与を支払い、課税対象となる所得を分散できます。
家族を役員として雇用し、給与を支払うことで、さらに所得分散を図ることができます。
多様な税金対策
法人向け生命保険や中小企業倒産防止共済などの活用により、経費を増加させ、課税所得を減らすことができます。
資産管理の明確化
法人は個人とは異なる独立した人格を持つため、事業と個人の資産を明確に分けることができます。
事業承継
法人化することで、事業をスムーズに承継することができます。
融資の利用
法人は個人事業主よりも信用力が高いと評価される傾向があります。法人化することで、より有利な条件で融資を受けることが可能になる場合があります。
法人化のデメリット
コストの増加
法人化には、設立費用や税理士費用などのコストがかかります。
設立費用
定款作成、登記申請などの費用
登録免許税(合同会社:6万円、株式会社:15万円)
税理士費用
法人税申告書の作成など、税務に関する手続きを依頼する必要があります。
手間の増加
法人化には、個人事業主よりも多くの事務手続きが必要になります。
複式簿記による記帳が必要で収入や支出を詳細に記録しなければなりません。
社会保険料の増加
法人は、従業員に対して社会保険への加入を義務付けられています。
厚生年金:労使分両方を払うため国民年金よりも保険料が高額
健康保険:国民健康保険よりも保険料が高額
赤字でも税金がかかる
法人は、赤字であっても法人税及び地方税を納付する必要があります。法人設立後、一定期間は最低でも年7万円の地方税を納付する必要があります。
法人化の判断基準
法人化の判断基準として、以下の要素を考慮する必要があります。
- 年収: 年収が一定額を超えると、法人化による節税効果が期待できます。
- 不動産の規模: 所有する不動産の数や規模が大きくなるほど、法人化によるメリットが大きくなります。
- 将来の計画: 将来、事業を拡大したり、相続を考えたりしている場合は、法人化が有利になる可能性があります。
- コストと手間: 法人化にはコストと手間がかかります。これらの負担を許容できるかどうかを検討する必要があります。
まとめ
不動産投資における法人化には、メリットとデメリットがあります。
投資家それぞれの状況を考慮し、最適な選択をすることが重要です。
上記の情報を参考に、慎重に判断してください。
※本記事は、一般的な情報提供のみを目的としており、個別の状況を考慮したアドバイスではありません。具体的な判断については、税理士等の専門家に相談することをおすすめします。
関連情報
国税庁 法人税: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/hojin.htm
マイナポータル 法人設立ワンストップサービス:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html