「民泊新法」で民泊はどう変わる?

2017年3月上旬に住宅宿泊事業法(仮称、以下「民泊新法」)の提出が予定されています。

民泊新法では、民泊の運営方法、営業可能な地域、年間営業日数、民泊運営者に課される義務、民泊仲介業者への義務などが規定されます。

民泊は現状、実態が先行してグレーな部分で行われています。
新しい法律ができればそれに対応して規制が行われ違法な民泊は摘発される可能性があります。

この記事では、「民泊新法」で民泊はどう変わるのか説明します。

民泊新法で民泊の運営は3つの形態に

民泊新法の施行により、民泊の運営には以下の3つの形態が定められます。今後、民泊を行うためには、民泊新法に基づく3つの合法民泊のどれかに該当しなければなりません。

①旅館業法に基づく簡易宿泊所

宿泊料を徴収し、広く一般に募集し、反復継続して、生活の本拠として利用しない場合は、旅館業法の適用を受けます。

簡易宿泊所として営業を行うためには、都道府県知事の許可が必要です。許可の要件は、宿泊室の面積が1人あたり3.3㎡以上、建築基準法や消防法などの関係法令に適合していることなどです。

旅館業法に該当するかの判断

  • 宿泊料の有無
  • 社会性の有無(広く一般に募集をしているか)
  • 反復継続性の有無
  • 生活の本拠か否か(旅行者か居住者か)

②特区民泊

国が指定した特区内では、旅館業法の適用が除外されます。

現在の特区の対象地域は、大田区、大阪府、大阪市、北九州市の4つです。特区民泊の要件は、各特区によって異なります。

大田区の場合

羽田空港のある大田区は東京都で唯一、民泊条例を作り特区民泊に取り組んでいます。
大田区の特区民泊

大田区の特区民泊 主な認定要件

  • 一居室の床面積が 25㎡以上で施錠可能であること
  • 台所、浴室、便所・洗面設備があること
  • 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理・清掃に必要な器具などがあること
  • 外国語を用いた案内があること
  • 滞在期間が6泊7日以上であること
  • 建築基準法上「ホテル・旅館」が建築可能な用途地域であること

他には消防への事前相談や近隣住民への周知などの条件をクリアすると区から認定され民泊事業を行うことができます。

③新法民泊

民泊新法に基づく民泊は、都道府県知事への届出制となります。年間営業日数は180日以内と定められており、家主居住型と家主不在型の2つの類型に分けられます。

民泊新法の規制強化のポイントは、以下のとおりです。

  • 営業可能な地域の拡大→民泊新法では、住宅専用地域でも営業が可能になります。
  • 年間営業日数の制限→民泊新法では、年間180日以内の営業に制限されます。
  • 民泊運営者の義務の強化→民泊運営者には、宿泊者名簿の作成やゴミ処理などの衛生管理、近隣住民とのトラブルへの対応などの義務が課されます。

現在、民泊を行っている人は注意

現在、民泊を行っている人の多くは、旅館業法に基づく簡易宿泊所の許可を得ていない可能性が高いです。民泊新法の施行後、許可を得ていない民泊は違法となります。

政府は、無許可営業の民泊への罰金額の上限を100万円に引き上げる方針を示しています。また、家主(民泊ホスト)にも罰則を適用する意向です。

そのため、現在、民泊を行っている人は、許可の取得か民泊からの撤退を検討する必要があります。

不動産オーナーが民泊トラブルに巻き込まれないために

区分所有のマンションでは、管理規約で民泊禁止の条文を加えて対応しているケースが多いようです。

戸建等の場合で、合法に民泊ができる条件が整わない場合、近隣住民とのトラブルから、法律違反に問われてしまう可能性があります。

そのため、民泊のできない物件を所有している人は、賃貸契約書に使用目的の規定や転貸借の禁止規定を入れるなどして、自分の物件で違法な民泊が行われないようにしましょう。

まとめ

民泊新法の施行により、民泊の運営にはより厳しい規制が適用されることになります。現在、民泊を行っている人は、早めに対応を検討しましょう。

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