不動産投資を始めるきっかけには、不動産投資の本やセミナー、インターネット広告などいろいろな媒体があります。
本の著者やセミナーの講師は、不動産会社の社員だったり、有名な投資家だったりします。
不動産投資家の中には、不動産コンサルタントと称して、個人コンサルをしている人もいます。
不動産投資で成功した人が、成功のノウハウを教えてくれるという触れ込みですが、不動産の専門家から見ると、「投資初心者をだましているだけじゃないか?」と感じてしまうことがたくさんあります。
この記事では、カリスマ大家さんの不動産投資塾の注意点について説明します。
目次
カリスマ大家さんの不動産投資塾とは?
大家さんが主宰する不動産投資塾に在籍する不動産コンサルタントの多くは不動産投資で成功してサラリーマンを退職した人たちです。
その後、「専業大家として悠悠自適な生活を送っている」とプロフィールに書いてあります。
そんな生活を送っていながら、不動産コンサルタントとして、これから投資をする人に投資のノウハウを教えてくれるありがたい仕事をしてくれます。
新米の投資家さんが、不動産会社にだまされるのが見ていられないというコンサルタントが、セミナーやコンサルティングで不動産投資を教えてくれます。
「不動産会社にだまされないように」という目的の一方で、年会費数十万円とか、中には100万円以上という会費を払わないと入会できないものもあります。
「悠悠自適な生活を送っている割には、ちょっと会費高いよね。」という指摘は置いておいて、不動産投資の成功者が初心者を指導するという塾が世の中にはたくさんあるのです。
不動産コンサルタントと不動産会社はどう違う?
不動産会社は不動産の仲介業務や転売、分譲で利益を得ています。
宅建業法という法律で規制を受け、営業のためには免許が必要です。
違法な行為や不適切な業務があると、監督官庁から指導を受け、免許が取り消される可能性があります。
不動産コンサルタントは免許や資格は必要なく、「不動産コンサルタント」と名乗れば、誰でも始めることができます。
ちなみに、少し紛らわしい資格に「不動産コンサルティングマスター」というのがあります。
不動産コンサルティングマスターは、不動産流通推進センターが実施する不動産コンサルティング技能試験に合格し、宅地建物取引士・不動産鑑定士・一級建築士の実務経験が5年以上なければ登録をできないので、それなりにちゃんとした資格です。
不動産コンサルタントの収入源は、セミナー講師報酬、不動産会社からの顧客紹介料(仲介手数料のキックバック)などがあります。
セミナーだけでなく、個人向けのコンサルをしているコンサルタントの人もいます。
だいたい1時間の面談で数万円か、月会費制なら、数万円から十数万円で不動産投資の先生をしてくれます。
主催セミナーなどに参加すると、セミナー終了後に飲みに連れていってくれるので、不動産投資をする友達を作ることができます。
ちなみに、執筆業の多くはブランディングのための自費出版なので、あまり利益にはなりません。
大家さん不動産コンサルタントが不動産会社を経営
不動産コンサルタントにも、不動産会社を経営している人がいます。
カリスマ大家さんコンサルタントを売りにしていて、「不動産会社にだまされる投資初心者を救いたいという」表向きの顔があるので、不動産会社を経営していることを隠している場合もあります。
コンサルで紹介してくれる物件は、自社の物件だったり、レインズに掲載されている物件だったりします。
不動産会社は宅建士資格と所定の事務所があり、協会に加入すれば、比較的簡単に開業できます。
自分の顧客を紹介して、不動産会社から紹介料をもらうよりも、自分で不動産会社を経営して、仲介手数料をもらったほうが効率が良いということなのだと思います。
不動産会社から見る不動産コンサルタントの危うさ
世の中、全ての不動産コンサルタントが悪いとは思いません。
適正な価格で、不動産投資の基本を教える、購入後は運営をサポートする「個別指導塾」のような立場なら価値があると思います。
消費者は、対不動産会社では「だまされてはいけない」というフィルターをかけて慎重に話を聞くのに比べて、自らが投資に成功した有名投資家コンサルタントの言うことは素直に聞いてしまいがちです。
しかし、物件を紹介して成約時に紹介料をもらうなら、彼らがだまされてはいけないと注意喚起している不動産会社と同じ側の人ということになります。
有名な投資家で成功した人から紹介を受けている、高額なコンサルティング費用を払っているからなどの理由で、この物件は大丈夫と判断をして物件を購入した人が、管理や追加投資の相談にきて失敗に気付くケースを何度も見ています。
特に、「自己資金ゼロで資産規模〇億円になれる」などと宣伝をしているコンサルタントは過去に紹介したこの記事と同じようなことをしているように思えます。
参照:「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔
このタイプのコンサルタントは、リーマンショック後など、不動産の安い時期に自分の属性をうまく利用して融資を受けて物件を購入しています。
良いタイミングで投資をした結果、再現が難しい投資手法で成功したため、自分の投資と同じ手法を勧めても今の時代には再現できず、結果として依頼者が失敗してしまうのだろうと思います。
なかには、悪意のあるコンサルタントもいて、抜群の資産背景を担保に融資を受けて、多くの物件を購入したにも関わらず、それを隠している人もいるようです。
結局、投資は自己責任だという事
コンサルタントから紹介された物件を購入をしても、不動産会社から物件を購入しても、最終的には「投資は自己責任」ということになります。
どんな有名人に相談していても、失敗の責任は取ってくれないのです。
不動産投資をする人は、不動産賃貸業という事業の経営者になります。
不動産コンサルタントに相談するのもいいですが、「投資は自己責任である」という事を忘れずに、自分の知識ですべてを判断・運営できるようにするための努力を欠いてはいけないように思います。