前回の記事では、新築マンションの投資目的についてとりあげ、目的にあっていれば新築マンションへの投資は間違っていないとお話ししました。

この記事では、新築マンション投資で失敗者が続出してしまう理由を説明します。

新築マンション投資 シミュレーション失敗の要因

 
不動産投資、シミュレーション

前回、新築マンションに投資する目的を4つあげました。
➀節税のため ②生命保険の代わり ③個人年金として ④資産形成として

この目的にはあっているが、判断が甘いために投資が失敗しているケースが多いのです。

判断の甘さは、正しいシミュレーションができないことが原因です。
シミュレーションを間違えてしまう要因は以下の3点です。

①新築物件の家賃は高い

当然のことですが、新築物件の家賃は割高です。
設備は最新で、今までの誰も使っていない新品の設備に住むのですから、プレミアム家賃なのは仕方がないでしょう。

そのプレミアム家賃は、間違いなく下がるということを考慮して、シミュレーションをしなければなりません。

そのうえで、個人年金や投資として成立するのか考えて投資をするか判断します。

②売却損が出やすい

新築マンションの価格は、新築プレミアムの家賃で設定されています。
入居者が入れ替わった時に、家賃が相場通りになれば、その部屋の価格はその時点で大きく値下がりします。

例えば、1,920万円の新築物件を、表面利回り5%で買ったとします。
家賃は8万円です。

4年後に入居者が入れ替わって、家賃が7万円に下がったとしたら、同じ5%の利回りで売っても1,680万円です。

フルローンで購入しているなど、融資の割合が多いと、家賃の値下がりによる収支の悪化に耐えられず売却をしようと考えます。

しかし、元利均等返済の場合、返済初期は利息返済の割合が高いため、残債はそれほど減っていないことが多く、売却損が出てしまうのです。

融資を利用している場合、途中で売却することは難しいことを、想定しておかなけばなりません。

③節税効果は高くない

前回の記事でも取り上げたとおり、所得税・住民税の節税効果は高くありません。
相続税という点では一定の効果がありますが、所得税・住民税の節税を期待しても融資の割合によっては、節税のために赤字の物件を持ち続けることになります。

赤字になってしまった物件の節税効果は、支払いを免れた税額と、節税効果のために補てんしたキャッシュフローの赤字部分と、どちらが多いかという判断になります。

節税効果は相続税に対してであり、所得税・住民税には高くないことをシミュレーションで確認しておく必要があります。

赤字経営の賃貸マンションは負債

不動産価格下落

分譲マンションを投資目的で購入している人はたくさんいますが、ポートフォリオに新築で購入して収支が赤字のマンションがあると、銀行から融資を受けられずに物件購入が続けられない人がいます。

不動産投資は不動産賃貸業です。
収支が赤字(数年後に赤字になりうる)の物件を持っている人には、銀行はお金を貸しません。

銀行は、不動産賃貸業という事業にお金を貸すのですから、利益の出ていない事業の拡大にお金は貸せないということです。

節税や生命保険の代わりなど、いろいろな投資の目的がありますが、銀行は節税のために行う投資を事業とは認めません。

生命保険に加入していても、融資の審査に影響はありませんが、生命保険の代わりにマンションを購入して返済をしているという論理は認めません。

節税は利益を減らすことによって行われます。
生命保険の代わりでも、赤字のマンションは負債となります。

儲かっていない事業をしていると判断されてしまうので、今後の融資には不利になります。

新築マンション投資で失敗しないために気をつけること

マンション投資、失敗をなくす

➀家賃が下がることを認識する。

家賃は必ず下がります。特に最初の入居者の退去後は下落幅も大きいです。

家賃が下がっても、収支が合うような資金計画をしましょう。

②フルローンは避ける

新築の物件は、中古物件に比べてフルローンが組みやすいということもあり、提携ローンを利用して全額ローンで物件を買ってしまう人がいます。

当然ですが、新築物件は中古物件よりも利回りが低いです。
家賃が下がった時に、フルローンを組んでいてローン返済額が多い人は、収支が赤字になってしまうケースがよくみられます。

家賃が下がっても、収支が赤字にならないような資金計画でローンを利用すること、売却時に大きな手出し資金が必要とならないように、ローン額を考えましょう。

③購入前に楽観的なシミュレーションをしない

購入前に、現実的な条件でシミュレーションをしましょう。
1年分ではなく、保有予定期間分のシミュレーションです。

「家賃は築年数に応じて下がる」、「節税分を収益と考えない」、「修繕の費用を積み立てる」などの厳しいシミュレーションが大切です。

④キャッシュフローが赤字になったら損切りも覚悟する

現金購入や低返済比率なら問題ありませんが、融資の割合が多くキャッシュフローが赤字になってしまったら、手元の資金を投入してでも損切りをする覚悟が必要です。

赤字のまま保有を続けても、下がった家賃が新築時の水準に回復する見込みはありません。

収入は増えないのですから、ローンの返済が終わるまで、キャッシュフローの赤字は数年にわたって続きます。

赤字を作ることが目的でないのなら、繰り上げ返済でキャッシュフローを改善するか、売却して損切りを検討してください。

不動産賃貸業として事業を拡大したい人も、収支が赤字の物件は処分をして、出直しをお勧めします。

まとめ

1棟ものの物件を勧める人の多くが、「絶対に買ってはいけない」と言う新築マンション投資ですが、購入目的にあっているのなら、購入してもいいのだろうと思います。

どの物件の種別でも同じですが、最終的には購入目的にあうかどうかです。
あくまで税金対策なのか、生命保険の代わりなのか、不動産賃貸業なのか。

絶対に失敗すると言われる、新築区分マンション投資ですが、失敗の原因は新築マンションそのものではなく、投資の目的と手法の不一致にあります。

購入前に、購入目的にあわせたシミュレーションをして、目的にあわせた物件を購入して下さい。

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