金融庁が「高齢社会における資産形成・管理」報告書案を公表しました。この報告書案では、人生100年時代の到来に伴う、年金の支給額減や支給年齢の引き上げなどに対応するため、国民による資産形成の必要性を強調しています。
本記事では、この報告書案の内容をわかりやすく解説します。
ポイント:
- 人生100年時代を迎え、年金だけで生活することは難しくなる
- 資産形成を進めるためには、早いうちからコツコツと積み立てることが重要
- 金融リテラシーの向上と、信頼できるアドバイザーの活用が大切
目次
日本の年金制度の現状
日本の年金制度は、国民皆年金と呼ばれるように、20歳以上のすべての国民が加入する制度です。
しかし、少子高齢化の進展に伴い、年金の支給額は減り、支給年齢は引き上げられています。
例えば、厚生年金の受給開始年齢は、昭和36年4月2日以降生まれの男性は65歳、昭和41年4月2日以降生まれの女性は65歳となっています。
また、2022年には、国民年金の保険料率が16,410円から16,610円に引き上げられました。
将来の年金支給額はねんきん定期便で確認できます。
50歳未満の人は現時点までに支払った保険料に基づいた年金額(今後の納付で支給額が増える)が、50歳以上の人には現在の状態のまま60歳まで納付を続け、60歳で納付をやめた場合を想定した年金額が記載されています。
「老後資金2,000万円問題」とは?
報告書案の以下の部分から老後には2,000万円必要と報道がされました。
高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取崩しが必要になる。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
単純に赤字5万円×30年=2,000万円が必要との計算ですが、「住宅ローン等の負債を抱えている者もおり、そうした場合はネットの金融資産で見ることが重要である。」という記載もあり、あくまでも平均から求めただけの数字だということが書かれています。
2000万円足りないという点がインパクトがあり重点的に報道されましたが、文書の本質は「老後のために資産形成をしましょうね」という内容です。
人生100年時代における資産形成の必要性
このような年金制度の変化を踏まえ、金融庁は、人生100年時代においても安心して生活するためには、国民による資産形成の必要性を強調しています。
具体的には、以下の3つのポイントが挙げられています。
- 現役期の資産形成
- リタイヤ期前後の資産形成
- 高齢期の資産形成
- 現役期の資産形成
現役期は、収入があり、支出も比較的少ないため、資産形成のチャンスです。
早いうちからコツコツと積み立てることで、大きな資産を形成することができます。
報告書案では、30歳で10万円を毎月積み立てた場合、60歳までに約2,600万円になるという試算を示しています。
具体的には、iDeCoやNISAなど、税制優遇を受けられる制度を活用するとよいでしょう。
リタイヤ期前後の資産形成
リタイヤ期に向けて、退職金の活用や、収支の改善策などを検討する必要があります。
また、資産の運用方法を見直し、中長期的な資産形成を継続することも重要です。
高齢期の資産形成
高齢期は、資産の取崩しを開始する時期です。
心身の衰えや、認知機能の低下などを考慮し、計画的に資産を活用することが大切です。
金融リテラシーの向上と、信頼できるアドバイザーの活用
資産形成を成功させるためには、金融リテラシーの向上が重要です。
金融商品や金融サービスの仕組みを理解し、自分に合った資産形成プランを立てましょう。
また、信頼できるアドバイザーに相談することも有効です。
アドバイザーは、あなたの状況や目標に合わせて、最適な資産形成プランを提案することができます。
まとめ
人生100年時代において、年金だけで生活することは難しくなります。
安心して老後を過ごすためには、早いうちから資産形成を始めることが大切です。
金融庁の報告書案を参考に、自分に合った資産形成プランを立てましょう。