資産運用において、「リスク」はリターンの振れ幅のことです。
想定していた収益との差がどれだけあったかということなので、リスクというとマイナスのイメージですが、ここで言うリスクはプラスに振れた場合もリスクとなります。

リスク許容度とは、どの程度の振れ幅(不確実性)を受け入れることができるかということです。

自分のリスク許容度を知っておくと資産形成だけでなく、保険加入や住宅取得など、人生の様々なイベントでの判断に役立ちます。

この記事では、ライフイベントごとのリスクを確認して、どのように判断すると良いか説明します。

よくあるリスク許容度に関する質問

リスク許容度に関する質問
  • 現在の年齢は?
  • 投資期間は?
  • 未婚or既婚?
  • 投資に対する知識はどの程度?
  • 投資金額が金融資産全体に占める割合は?
  • 夫婦とも働き
  • マイホームの有無
  • 投資経験の有無
  • 元本確保とリターンどちらが優先?
  • 大きな損失がでたらどうする?

リスク許容度は、単にお金の問題として計算ができるものと、個人の性格に関するものがあることが分かります。

投資だけでなく人生においても言えることですが、選択によっては元本(現状)は守られないし、損をしたり失敗をする可能性があるということです。

そのため、お金の話だけでなく、損失や選択ミスによる失敗が起きた場合のメンタル的な影響(資産価値の下落に耐えられるか?)なども測るために性格面に関する質問項目が含まれています。

まずはお金に関する面をしっかりと把握して、自分の性格面を冷静に見つめ直して、自分のリスク許容度を判定しておきましょう。

資産形成とリスク

資産形成とリスク

金融資産のリスク

主に金融資産での運用に関するリスク許容度はある程度、数値で把握することができます。
ファンドならリスクとリターンは、モーニングスターのサイトを見れば、どの商品にいくら投資をすると、どのくらいのリターンがあって、どの程度リスクがあるかという情報が書いてあります。

理論上の数値は計算できるので、計算結果と性格面のリスク許容度で判断をすることになります。

例えば、5年リターン3.5%、標準偏差(データの散らばりの度合い)8.5の投資信託に投資をすると、約70%の確率で‐5~+12%のリターンとなります。

「投資したお金が‐5%になっても精神的な影響も含めて大丈夫か?」という判断になります。資金面では問題ないけれど、資産が減ると不安で落ち着かないという人は投資をしないほうが良いでしょう。

データの多い投資信託はリスクが数値化されるので、お金の問題を数値で判断し、想定外の暴落があった場合の自分の性格面を分かっていれば、投資するかどうかの判断がしやすいと思います。

不動産投資のリスク

不動産は金融商品と違って、個別性が高いうえにデータがきわめて少ないのでリスクを数値化するのは非常に難しいという特徴があります。

公開されている地価公示や路線価は、実際の取引価格とはほぼ無関係ですし、空室率のデータはいろいろなところから出ていて、どれが実体に近いのか分かりません。

データを比較して中央値を探してみる、価格面では不動産会社に複数の成約事例を提供してもらうというような対策が必要だと思ます。

リスク許容度の低い人は、売却する時に不利になるような条件(再建築不可・違反建築・事故物件など)の物件には手を出さないほうが良いでしょう。

通常、価格が安く利回りが高い物件は何らかのリスク要因があることが多いですから、どうして安いのか?、どうして利回りが高いのか考えて無理のない範囲で投資をすることが大切です。

保険とリスク

保険とリスク

生命保険とリスク

保険に入ることで回避できるリスクは『今』死んでしまったら(病気になったら)残された家族の生活はどうなるのかという点です。

極端な話、残された家族が何の問題もなく生活できるのなら死亡保障は必要ないですし、病気になった時に高額の医療費がかかった時に、貯蓄から医療費をねん出しても、今後の生活に影響がないくらいの貯えがあるのなら医療保険は必要ありません。

何が起きても心配ないというだけの資産がある人は少ないと思いますので、みんな少なからず保険に加入します。

どんなに健康で強靭な身体の持ち主でも、死なない人はいないし、まったく病気にならない人もいないでしょう。

まずは自分の資産内容と、自分がリスクを感じること(病気・就労不可など)を確認してみましょう。リスク許容度の低い人はリスクに感じることがたくさんあるかもしれません。
そのリスクに対応するために必要な金額も確認しましょう。

確認したリスクと、それをカバーするために加入する保険料を比べて、その保険が必要なのか決めて下さい。

損害保険とリスク

損害保険にはさまざまな種類があります。
火災保険・地震保険・自動車保険・個人賠償責任保険など。

生命保険と同じく、自分がリスクを感じることを確認してみましょう。
そのリスクと、そのリスクをカバーする保険の保険料との比較となります。

生命保険・損害保険ともに言えることですが、保険はリスクに備えるもので損得で判断するものではありません。

備えたリスク要因が起こらなかった場合には、損をしたのではなく、起きなくて良かったと考えて保険加入を考えてください。

住宅とリスク

住宅とリスク

賃貸or住宅購入

賃貸が良いか、家を買うのが良いかについては過去の記事を参考にしてください。

参考:賃貸vs持ち家どっちが得か論争

どちらにもメリット・デメリットがあり、居住地や資産内容、家族構成などによって前提条件が違うので明確な答えはありません。

よくある議論で、住宅ローンを組むと仕事を辞められない、独立起業などのチャレンジができないというのがありますが、会社を辞めたり、独立起業した間は家賃が無料になる制度はないので、この議論は的外れです。

住宅購入に関しては「何をリスクと感じるか?」という点が重要だと思います。
「長期間のローンを組むことがリスク」と感じる人は賃貸のままで良いと思いますし、「一生涯家賃を払い続けることがリスク」だと感じる人は家を買えば良いと思います。

あとは家族構成や自己資金の貯まったタイミングで購入をすると良いでしょう。

変動金利or固定金利

変動金利と固定金利どちらを選ぶかということについては過去の記事を参考にしてください。

参考:ローンの金利「固定金利」と「変動金利」どっちがいい?

変動金利は「金利が変動するリスク」があり、固定金利は「金利は変動しないが、現状では変動金利よりも金利負担が大きいというリスク」があります。

このリスクの比較は性格面の問題と、金利変動に耐えられる資金があるかというお金の問題になります。

金利が変動することが不安だというリスクと、現状で変動金利よりも多くの金利を支払うリスクとの比較です。

現状では、金利が上がる可能性は低いですが、金利上昇が不安でたまらない人は固定金利を選べは良いと思いますし、支払額を抑えながら金利変動に備えられる人は金利支払い額の少ない変動金利を選ぶと良いと思います。

ライフイベントごとのリスクのまとめ

ライフイベントごとのリスクのまとめ

リスク許容度は人それぞれです。
リスクがあるなら、なにもしたくないという人もいると思います。

しかし、人生は選択の連続で「なにもしない」という選択は難しいというのが現実です。
選択は必ずしなければならないのですから、何かの選択をするときは、何がリスクなのかということを考えて、どちらのリスクが高いのか比べてみてください。

自分の資産状況や性格を知ったうえで、どちらのリスクが高いのかという視点で見ると人生で起きるライフイベントの多くは選択がしやすくなると思います。

まずはライフプランを作成して、自分の資産状況を可視化することから始めてみてはいかがでしょうか?

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