資産形成

年金制度改正法案 審議入り 年金の繰下げ受給、どのくらい得に?

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年金の繰り下げ受給、どのくらい得に?

最終更新日

年金改革法案審議入り

国会議事堂

年金開始75歳法案、14日審議入りへ 「緊急事態」も先送りせず

2020年4月11日 朝日新聞デジタル

見出しが年金受給が75歳スタートになるような誤解をあたえるものだったので、ネット上では「75歳まで年金がもらえないなんて無理」とか、「政府は国民にお金を払いたくないんだ」などという批判がありました。

提出された法案は、現在65歳を基準の支給年齢として支給開始を60歳まで繰り上げ、70歳まで繰り下げできる制度を75歳まで繰り下げできるよう選択の幅を拡大するもので、支給年齢が75歳になるというものではありません。

詳しい改正案の内容はこちらをご覧ください。↓

年金・確定拠出型年金の改正点多数。全世代型社会保障改革をFPが解説します。

この記事では、75歳まで年金を繰り下げた場合の受給額モデルケースや繰り下げ受給を選択する判断基準について説明します。


現在の年金支給開始年齢と繰り上げ、繰り下げ受給の仕組み

年金受給のルール

老齢基礎年金は、65歳から受給が開始されますが、本人が希望すれば65歳になる前に繰り上げて受給することができます。

1カ月繰り上げるごとに-0.5%年金額が減額され、最も早く受給できる60歳まで繰り上げた場合の年金額は-30%となります。

繰り下げ受給を希望する場合には、1カ月繰り下げるごとに0.7%年金額が増額され、70歳まで繰り下げた場合の年金額は+42%となります。

実際に繰り下げるとどうなる? 年金の手取り額比較

年金繰り下げ受給比較

総務省の家計統計の平均値から年金支給開始年齢を繰り下げた場合の手取り額をシミュレーションします。

二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の家計収支 -2019年-
65~69歳の社会保障給付 月額198,770円/年額2,385,240円
 
厚生年金の夫、国民年金の妻と想定
(夫:133,770円/1,605,240円、妻:65,008円/780,100円)

①65歳支給の概算手取り額
198,770円‐4,309円(社会保険料)=194,461円

②70歳支給の概算手取り額(+42%)
198,770円×142%=282,253円‐7,840円(所得税、住民税)‐11,820円(社会保険料)=262,593円

③75歳支給の概算手取り額(+84%)
198,770円×184%=365,736円‐15,200円(所得税、住民税)‐18,566円(社会保険料)=331,970円

平均寿命と総額で年金の損得を考えることの無意味

平均寿命と総額で年金の損得を考えることの無意味

人はいつ死ぬか分かりません。
長生きする人もいれば、病気や事故で早くに亡くなる人もいます。
いつ死ぬかわからないのに、年金を平均寿命と総額での損得で考えることは無意味だと私は思います。

政府は75歳まで受給開始の選択を広げることについて高齢者が意欲をもって働ける環境の整備というが、15万円の年金の方で見ると
繰り下げずに65歳から87歳まで受け取ると年金総額3960万で税金は46万円あまり。
繰り下げて75歳から87歳まで受け取ると年金総額3974万円あまりで税金は270万円。

宮本徹衆議院議員Twitter

平均寿命と総額で考えると上記の考えかたになりますが、毎月の支給額で考えると下記のようになります。

65歳スタート 毎月150,000円‐1,746円(税)=148,254円
75歳スタート 毎月276,000円‐18,750円(税)=257,250円

「今から毎月15万円と10年後スタートの毎月26万円、どっちがいいですか?」という比較です。

平均寿命と総額から離れて毎月の支給額を比べると違った印象になりませんか?

もちろん75歳まで繰り下げるには、75歳まで働くか、退職後75歳まで生活ができる貯えがあることが必要というのが前提です。

年金は長生きのための保険ですから長生きすれば得です。
得をしたいなら、長生きするために健康に生きるための努力をするほうが現実的でしょう。

年金受給 繰上げと繰下げの判断基準

年金受給 繰上げと繰下げの判断基準

①65-75歳の収入源は就労か年金か?

65歳以降も働く人(働ける人)や、60歳でリタイアしても年金受給まで無理なく生活できる資産がある人は繰り下げを選択しても良いと思います。

65歳で仕事を辞めて年金以外に収入が見込めない人で、資産の少ない人は無理して繰り下げると生活が成り立たなくなる可能性がありますので、65歳から年金を受給したほうが良いでしょう。

自営業の方など、国民年金のみで支給額が少ないという人は、リタイアを少し先に設定して、できるだけ年金を増やしておくことを検討してもいいと思います。

②「総額が多いのと、毎月の支給額が多いのどっちがいい?」という価値観

どうしても年金支給の総額にこだわり、早く年金をもらいたい人は繰り下げずに支給を受けましょう。

③損得よりも生活の質を考える

上記の例の毎月15万円と26万円では、26万円もらえたほうが生活の質は高くなります。
毎月26万円もらえれば、一般的には生活に困ることはないでしょう。

平均寿命よりも早く死んでしまって、もらえる年金総額が少なかったとしても、年金で生活をした期間はお金の心配なく生活できたという方が良いという考え方もあります。

損得勘定は置いておいて、生活の質を考えれば75歳まで繰り下げるのは悪い選択ではないように思います。

年金の繰下げ受給、どのくらい得に? まとめ

年金の繰下げ受給、どのくらい得に? まとめ

「年金の繰下げ受給、どのくらい得に?」というタイトルで始めましたが、年金を損得で考えるのはあまり意味がありません。

人間はいつか死にますし、高齢になれば亡くなる可能性は高くなりますので、結果として繰り下げをした分、もらえる年金総額が減る可能性はあります。

繰り下げをして、しかも長生きした場合、繰り下げで増額された年金額を長くもらえる可能性もあります。

どちらがいいかというのは個人の価値観になりますが、働くことのできる見込みや資産状況によっては改正案の75歳支給を検討してみても良いのではないでしょうか。

新型コロナウイルス対策が最優先で、今やらなくてもいいだろうという意見はありますが、リタイア後の生活の選択肢が増えるわけですから、報道されている内容ほど、今回の改正は悪いものではないと思います。

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