法改正

年金・確定拠出型年金の改正点多数。全世代型社会保障改革をFPが解説します。

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年金制度改革

通常国会が1月20日に召集されて、6月17日までの150日間いろいろなことが話し合われます。
報道では、IRとか、ウグイス嬢とか、桜とかがメイン扱いですが、今国会には私たちの生活に密接に関係する法案が提出される予定です。

安倍総理大臣は年頭の会見で「全世代型社会保障改革」が政権にとって内政面の最大のチャレンジとして挙げており、今国会に法案が提出される予定です。

昨年末に、さまざまな政策会議で政策提言が出されており、予定される改正点が報道されています。

この記事では、全世代型社会保障改革のうち、年金関連の項目について、予想される改正点を説明します。

全世代型社会保障改革とは?

全世代型社会保障とは?

全世代型社会保障改革の考え方は以下の5点です。

  • 子供、子育て世代への支援を強化
  • 高齢者が、年齢にかかわらず働くことができる環境整備
  • 年金の受給開始時期を自分で選択できる範囲の拡大
  • 現役世代の負担上昇の抑制
  • 年齢ではなく負担能力に応じた負担

これまでの現役世代が高齢者を支えるという社会保障制度を、高齢者だけでなく、子供、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていくための制度に変えようという取り組みです。

子育て世代への支援(幼児教育無償化)は消費増税でやってしまったのが残念です。

令和元年 年金財政検証

年金を議論する時の前提となる年金財政検証の内容を確認します。
財政検証の結果は5年前とおおむね同じ内容でした。

  • 今後、経済が順調に成長した場合には、所得代替率は50%を維持できる。
  • 経済がマイナス成長の場合には50%を下回る恐れがある。
  • 年金給付は長期的には所得代替率は50%程度まで低下する。

厚生年金に関連する改正点

厚生年金に関連する改正点

①短時間労働者(パート労働者)への厚生年金の適用拡大

現行の制度では、社会保険に加入中の従業員501人以上の企業では、パート・アルバイトでも週20時間以上勤務、賃金月額が88,000円等の要件を満たすと、社会保険加入の対象となっています。

改正案では現行の 500 人超という企業規模要件は撤廃し、2022年10 月に100人超規模の企業まで適用。
2024年10 月に50 人超規模の企業まで適用を目指しています。。

短時間労働者への適用要件の中でも、1年以上の勤務期間要件は撤廃し、フルタイム相当の被保険者と同様の2か月超の要件が適用されるようになります。

労働時間要件は週 20 時間以上の労働者への適用を優先するため、現状維持。
月額賃金 8.8 万円の賃金要件は現状維持。

②士業事務所への適用拡大

厚生年金への加入義務がある5人以上の個人事業所に弁護士や公認会計士の事務所も含める。

(弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、公証人、海事代理士の10業種)

確定拠出年金関連の改正点

確定拠出年金関連の改正点

①企業型確定拠出年金

現行制度では65歳未満の加入条件を厚生年金被保険者(70歳未満)が加入可能へ緩和。

企業型確定拠出型年金の改正案
出典:社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料

②個人型確定拠出年金(iDeCo)

現行制度では国民年金第2号被保険者や国民年金の任意加入被保険者であって60歳以上のものはiDeCoに加入できない。

改正案では国民年金被保険者であれば60歳~64歳の期間も加入可能とする。

iDeCo加入期間の改正案
出典:社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料

参考:iDeCo加入規制緩和、全会社員に基準緩和の検討スタート

③確定拠出年金(企業型DC・個人型DC)の受給開始時期

60歳から70歳までの間で選ぶ受給開始時期は上限年齢を75歳へ

確定拠出型年金受給期間の改正案
出典:社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料

在職老齢年金の見直し

男性は2025年度まで、女性は2030年度までの経過的な制度。
女性の就労を支援する観点から、現行の 28 万円から高在老(65歳以降)と同じ47 万円の基準に合わせる。

就労形態による適用の有無による不公平、金持ち優遇という批判などの理由から62万円、51万円案は撤回されました。

参考:在職老齢年金の支給停止額が減額縮小、年金への影響は?

在職定時改定の導入

老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合は、退職時・70歳到達時に、受給権取得後の被保険者であった期間を加えて、老齢厚生年金の額を改定します。

65歳以上の者については、在職中であっても、年金額の改定を毎年1回行うよう改正されます。

公的年金の繰下げ受給の上限年齢の引上げ

公的年金の繰下げ受給の上限年齢の引上げ

現行70歳の繰下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げます。
(受給開始時期を60歳から75歳の間で選択可)

繰上げ減額率は1月あたり‐0.4%(60歳まで繰上げで最大‐24%)、繰下げ増額率は1月あたり+0.7%(75歳まで繰下げで最大+84%)となります。

その他の改正点

①申請免除の要件に未婚一人親、寡夫を追加

国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合に「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行うことで、保険料の免除や納付猶予が承認された期間が年金の受給資格期間に算入されます。

申請免除の承認基準に未婚一人親、寡夫が追加されます。

※寡夫の対象となる人の範囲

(1) 合計所得金額が500万円以下であること。
(2) 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
(3) 生計を一にする子がいること。
 この場合の子は、総所得金額等が38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

出典:国税庁ホームページ

②厚生年金保険法における日本年金機構の調査権限の整備

適用事業所である蓋然性が高いと認められる事業所についても、法的権限に基づく立入調査の対象に加えられます。

まとめ

年金制度改革のまとめ

上記の改正案は年金関連の項目について、報道や政策会議の政策提言をまとめたものです。

年金関連以外では一定以上の所得がある75歳以上の医療費の自己負担を、1割から2割に引き上げるなどの検討を進めるという項目があります。

スキャンダル追及ばかりをしているように見える国会ですが、生活に直結する問題も扱われています。

社会保障制度は今国会の重要法案のようですから、ぜひ注目してみてください。

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