金融庁ワーキング・グループの報告書は2,000万円不足、財務大臣の報告書受け取り拒否ばかりが報道されて、本質の部分は見落とされていました。

この報告書には、「米国では証券会社などの金融サービス提供者から独立して、顧客に総合的にアドバイスする者が多数いる」、「日本にも存在するが数は少なく認知度も低い」という記載があります。

この報告書にある、数は少ないけど存在する認知度の低いアドバイザーには、金融機関に属さないファイナンシャルプランナーも含まれると思います。

この記事では、ファイナンシャルプランナーをお金のアドバイザーにする時の注意点を説明したいと思います。

FP発祥の地アメリカでは「ファイナンシャルプランナーは富裕層のための職業」

アメリカと日本のファイナンシャルプランナー比較

ファイナンシャルプランナーの本場アメリカでは、ファイナンシャルプランナーには公認会計士や弁護士と同様の高い社会的地位が与えられています。

アメリカのファイナンシャルプランナーは、資産管理を主な業務としている人が多く、ファイナンシャルプランナーは富裕層のための職業です。

背景には日本人とアメリカ人の資産に関する考え方や行動の違いがあります。

日本では、自分の資産管理を他人に任せるという文化はなく、投資に対して悪いイメージがあるため資産は預貯金に集まります。

資産管理を主な業務とするアメリカのファイナンシャルプランナーに対して、日本のファイナンシャルプランナーは保険や金融商品の販売が主な業務のため、資産形成や相談が主ではなく、商品を売るための手段が相談になっています。

これからの時代により必要になるアドバイザーとしてのファイナンシャルプランナー

 

①長生きにはお金が必要

 
長生きとお金

金融庁の報告書の影響で「老後に2,000万円必要」というワードが話題になりました。

政府の調査だけでなく、平成28年に生命保険文化センターが行った意識調査でも、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は、月額で平均22.0万円となっています。

また、旅行や趣味など、ゆとりある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額は平均12.8万円となっています。

合計すると34.8万円×リタイア後の寿命がゆとりある老後の必要額ということになります。

これは単純に平均支出だけを掛け算した算数の話で、健康に生きられる年数は何年?とか、個人の生活水準、年金収入や保有資産などを考慮すれば、誰にでも当てはまるものではありませんが、長く生きるほどお金が必要になるということは間違いありません。

②預貯金以外は何もしていない日本人

 
貯蓄

5年に一度実施されている内閣府の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、50代までに行った老後の経済生活の備えについて、「特に何もしていない」と回答する高齢者の割合は、日本が約4割でもっとも多く、貯蓄や資産について、老後の備えとして十分と考える高齢者の割合(「十分」と「まあ十分」の計)は、スウェーデン72.7%、アメリカ68.8%、ドイツ66.3%となっており、日本は最も少ない37.4%となっています。

参照 平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果

日本には3つの特徴があります。
・老後の備えが足りないと考えている人がもっとも多い
・老後資金準備を何もしてこなかったと回答する人がもっとも多い
・預貯金以外の手段で準備している人が少ない

老後のお金に不安があるけれど、預貯金以外は何もしていない人が多いというのが特徴です。

③金融機関に相談すると損をしてしまう現状

 
金融機関にだまされる

昨年の夏ごろに「銀行で投資信託を購入した人の約半数が損失を出している」という記事がでました。

アベノミクスで投資環境は良く、長期で投信を保有すれば利益が出やすい環境にあった中で、約半数の人が損失を抱えているという状況です。

含み益のある投信を解約して、別の投信に購入させることで購入時手数料を稼ぐ「回転売買」が行われていた可能性があります。

保険でも同様の案件がありました。
かんぽ生命保険が、顧客の不利益となるような保険の乗り換え契約が複数確認されているそうで、背景は販売員が手数料を得るための件数稼ぎと報道されています。

自分の手数料収入・契約件数のために、顧客が不利益になるアドバイスをしてしまう。
手数料が収入源の人に相談すると起きてしまう最悪のケースです。

④自己管理は難しい

 
自己管理

健康や体形維持のためにスポーツジムに通っている人がいると思います。
スポーツジムではボディビルなど競技のためのトレーニングをしている人、トレーニングが趣味の人、健康や体形維持のための人 おおまかに3種類の人がいます。

競技や趣味で鍛えている人は家でできるトレーニングやトレーニング器具では本格的なトレーニングができないからジムに来るのだと思います。
本格的なトレーニングをトレーナーに教えてもらいたい人もいるかもしれません。

健康や体型維持が目的の人は本格的なトレーニングをする必要はありません。
自宅や家の近所の公園などでトレーニングをすれば済む程度でも健康や体型維持のためなら十分です。
それでもジムにお金を払ってまでトレーニングにきます。

一般的に、トレーニングはつらくて疲れるものです。
家にいればテレビを見たり、ゲームをしたり、いろいろな誘惑があります。
健康や体形維持のためという目的の人が、自宅でトレーニングを続けるのは、よほど意思が強くないと難しいのだと思います。

ジムに行く人は、トレーニングをする環境に行くことで、トレーニングをする意欲を湧かせている面があるのです。
よほどの目的があるか楽しくない限り、自己管理をするのは難しいのです。

節約やお金の管理も同じなのではないでしょうか?

誰かにチェックされたり、方法や目標を指示された方が続けやすいという側面があります。

自己管理はどうしても甘えが出てしまうので、監視役という意味でファイナンシャルプランナーに家計のチェックを頼んだり、投資助言や支出のスリム化などのトレーナー的役割を担うこともできます。

ファイナンシャルプランナーを選ぶポイント

ファイナンシャルプランナーを選ぶポイント

 ①何が専門のファイナンシャルプランナーなのか?

 

ファイナンシャルプランナーにも、病院と同じで自分の専門分野があります。
内科、外科、整形外科などの専門があるのと同じです。

病院

足を捻ったときに耳鼻科に行く人はいないと思います。
耳鼻科は捻挫が専門分野ではないと分かっているからです。

保険が専門のファイナンシャルプランナーに不動産の相談をしても、教科書に書いてある以上のことは教えてもらえないですし、不動産が専門のファイナンシャルプランナーは、個別の保険商品の詳しい説明はできないでしょう。

参考:お金に詳しくない不動産営業マン、不動産に詳しくないファイナンシャルプランナー

病院と違って、ファイナンシャルプランナーで専門分野を掲げている人は少数です。
たくさん顧客がほしいので、私は何でも知っているくらいのホームページを作っている人もいます。

ファイナンシャルプランナーのカバーする範囲はとても広いので、全ての専門家であることはありえません。

得意な分野、不得意な分野が必ずあります。
自分が何を依頼したいのか再確認して、その分野を専門としているファイナンシャルプランナーを選ぶ必要があります。

②感覚的に相性やスタンスが合うか?

 
考え方が合う

ファイナンシャルプランナーは、将来のライフイベントのためにお金についてのアドバイスをします。

将来のお金の計画をするので、ファイナンシャルプランナー自身の将来見通しへの考え方によって提案内容が違ってきます。

世の中には、このままの経済政策ではハイパーインフレになるとか、1$=50円になると考えている人もいるかもしれません。

デフレがずっと続くので、投資はせずにひたすら節約して現金を貯めておけというファイナンシャルプランナーもいれば、住宅ローンの金利が6%になる試算をするファイナンシャルプランナーもいます。

顧客の考える将来の見通しとファイナンシャルプランナーの考える将来の見通しに大まかな方向性の合致がないと、どんな提案も受け入れがたいでしょう。

二人三脚で、自分のお金の管理を依頼するのですから、ある程度のスタンスの一致はあった方がいいでしょう。

上記の2点に気を付けて相談相手を探してください。

 

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