3月18,19日に開催された日銀の金融政策決定会合で金融政策の修正が行われました。
住宅ローンと日銀の金融政策は切っても切れない関係であり、今後の金利水準にも大きな影響があります。
参考記事 ➡ ローン金利の上昇に影響大 金融政策とは?
この記事では、日銀の金融政策修正で住宅ローンの金利にどのような影響があるのか、変動金利型と長期固定金利型の住宅ローンに分けて説明します。
目次
日銀の金融政策
日銀が行っている金融政策は長短金利操作付き量的・質的金融緩和です。
政策の枠組みは①長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、②消費者物価上昇率が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベース(お金の量)の拡大を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。
この枠組みの中で金融政策を行うことは変わらずに、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行いました。
日銀の金融政策修正
- 短期政策金利に連動する「貸出促進付利制度」を創設する。
- イールドカーブ・コントロールについて長期金利の変動幅は±0.25%程度であることを明確化する。
- ETFおよびJ-REITについて、年間12兆、1,800億を上限に買い入れを行う
住宅ローンへの影響
①変動金利
変動金利型の住宅ローンは「短期プライムレート」に連動して金利が決まることが一般的です。
今回の金融政策決定会合でも短期金利は-0.1%で変更はなく、変動金利の水準は変わらないでしょう。
②固定金利
フラット35など、長期固定金利型の住宅ローンの金利は、「長期金利」に連動します。
代表的な長期金利の指標は「10年物国債金利」であり、10年物国債金利が上昇すれば、長期固定金利型の住宅ローン金利も上昇します。
今回の金融政策修正で長期金利の変動幅は±0.25%程度と明確になりました。
近年では長期金利が変動幅上限となる0.25%に近い水準だったのが2015年です。
その時のフラット35の金利は以下の水準でした。
【参考】長期金利とフラット35金利
2015年1月 長期金利0.275%⇒2015年2月 フラット35金利1.37%
2015年12月 長期金利0.27%⇒2016年1月 フラット35金利1.48%
2015年当時は団信なしの金利なので現在と比較するには0.3%程度上乗せが必要です。
もし、長期金利が日銀の許容する上限である0.25%に近づけばフラット35金利は1.7%~1.8%程度となる可能性があります。
一方で日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合の後の会見で「これまで幅を持って表現していたものを明確化した」、「長期金利の変動幅を拡大するという考えは今も持っていない」と述べました。
長期金利が上がってきた場合には金利の大幅上昇を抑制する「連続指値オペ制度」を実施することも決めており、長期金利が0.2%を継続して超える可能性は低いのではないかと思います。
まとめ
- 日銀の金融政策修正後も変動金利の水準は変わらない
- 長期固定型の金利は少し上昇する可能性があるが上昇幅は大きくない
今回の金融政策修正は金融緩和を長期間行うために実施されたもので住宅ローンの低金利はしばらく続きそうです。
消費者物価上昇率が安定的に2%を超えるまで金融緩和が続くことは決まっているので、変動金利で住宅ローンを借りている人や借りる予定の人は、物価関連の経済指標をチェックしましょう。
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