建美家・楽待などの調査によると、1棟投資用不動産の価格が下がり始めています。価格下落の要因としては、銀行融資の厳格化が大きいようです。
この記事では、2019年夏の不動産投資事情を市況、融資情報、今後の投資用不動産市場の動向の面から説明します。
目次
投資用不動産価格
広告掲載のために登録された全国の収益物件 3種別の販売価格・利回りを集計している建美家・楽待によると、1棟物件では、価格低下・利回り上昇が、区分マンションでは、価格上昇・利回り低下が起きています。
国交省が毎月公表している不動産価格指数(取引価格)では、3大都市圏で指数の低下(前年同月比)が起きています。
https://www.mlit.go.jp/common/001301173.pdf
※2010 年平均=100
マンション・アパート(一棟)
2019 1Q
全国134.47(-1.1%)
三大都市圏 132.4(-1.6%)
三大都市圏以外142.3(+0.4%)
区分マンションは1棟物件よりも金額が安く、融資が組みやすい、購入ハードルが低いといった要因で取引が増えたことによって価格上昇・利回り低下が起きていると思われます。
今まで、1棟物件を仲介していた投資用不動産業者が、融資の厳格化で1棟物件が売りにくくなり、区分マンション仲介に主軸を移したことも影響しているかもしれません。
不動産融資動向
各金融機関の融資は、とても厳しい状況が続いています。
融資を受ける人の属性審査、物件の担保評価、物件価格に対する融資割合、全ての面で厳しくなっているケースが多いようです。
この金融機関の融資姿勢が1棟物件の利回りの上昇、不動産価格の下落に影響していると思われます。
都市銀行、地方銀行の融資が厳しくなっている一方で、一部の地銀、ノンバンク、信金、信組では変わらず投資用不動産向けの融資を行っている金融機関もあり、今まで以上に金融機関の開拓が重要になっているようです。
今後の投資用不動産市場の動向は?
日銀が発表している銀行と信用金庫の「貸出先別貸出金」というデータによると、「個人による貸家業向け貸出残高」は、2016年3月期3.8%、2017年3月期4.0%と増加しました。
この頃に、金融庁がアパートローンの増加を注視しているという報道があり、2019年3月期の増加率は0.3%になり、ほとんど増えていない状態になっています。
不動産融資は比較的長期間の融資期間で組まれていることが多いため、残高の減りはスピードが遅い特徴があります。
残高の多さや、スルガ銀行の二の舞を恐れているのか分かりませんが、銀行の質屋さん状態は続いていて、しばらくは、金融機関の不動産賃貸業への新規融資が厳しい状況は変わりそうにありません。
需要と供給のバランスで、融資が受けやすい状態で物件価格が上昇するのと反対に、融資が引き締められると物件価格が下がります。
これは、最近の区分マンションの価格上昇と1棟物件の価格低下で裏付けていると思います。
他の人が融資を受けられず物件を買えない時は、融資を受けられる人が物件を安く買えるチャンスです。
融資が厳しいと言われている時こそ、金融機関の開拓をして良い条件で物件を取得することを目指してください。