スルガ銀行不正融資、こんな時だからこそ投資の基本を再確認する

今日の午後スルガ銀行の不正融資について、第三者委員会の調査報告書が公開されました。

不正融資は2兆円にのぼるとの報道がありましたが、総額や件数は調査が困難で断念とのことでした。

もし、不正融資の総額が2兆円なら、1人1億の融資だとしても、2万人の投資家に影響が出ている計算です。

なかには不動産業者が勝手に融資資料を改ざんした案件もあるとは思いますが、大半は投資家も承知のうえで行われたものだと思います。

参照
スルガ銀行の不正融資問題① アパートローンで銀行は何を審査しているのか?
スルガ銀行の不正融資問題② 貸した側の銀行の責任と今後の収益物件融資への影響は?

不正融資が社会問題になりつつある、こんな時だからこそ、この記事で投資の基本ルールを再確認しようと思います。

投資の基本ルール

投資のルール、イメージ

① 家計を分類する

アメリカ発の投資本では、バケツや壺に例えられることが多い家計の分類です。
家計のなかで生活に使うお金、貯蓄に回すお金、投資に回すお金を分類します。

貯蓄のバケツは2種類あり、比較的近い将来に使うためのお金(教育費や車の購入費など)と病気や急なリストラなどで収入源を失った時のための防衛資金に分かれます。
どちらもある程度の流動性を持った資産で用意しなければなりません。

リスクをどの程度で考えるかで金額はさまざまですが、生活費の半年から一年分程度が一般的です。

生活防衛資金が貯まるまで投資はしないか、並行して貯蓄ができる程度の少ない金額からスタートします。

② 現状の把握と目標の設定

人はいつか死ぬので永久に投資を続けることはできません。
いつまでにどの程度のお金が必要で、そのためにはどんな投資が必要か計画を立てます。

老後の生活資金なら必要な金額はいくらなのか、その金額を貯めるためには何年間投資をして何パーセントの利回りが必要なのか計算します。

そのためには現状の把握が必要です。
これから起きるライブイベント、予想される支出、貯蓄できるお金、自分の資産状況、将来の公的年金等の支給額などです。

現状を把握することによって必要な資金の額が分かり、計画を立てることができるようになります。

③ 投資の計画を立てる

必要な金額と時期を把握したら投資の計画を立てます。
まずは必要な金額を予定された時期までに得るためにはどうすればいいか分析します。

・毎年の貯蓄額で予定された額を予定通りに貯めることができるのか?
・貯蓄では間に合わない場合に節約で貯蓄可能額を増やすのか、それとも投資によるリターンで不足分をまかなうのか?
・投資をするなら、どのくらいの利回りが必要で、その利回りが得られる投資先は何か?
・その投資先にはどの程度のリスクがあるか?
・投資を実行した場合のリスクとリターンを想定シナリオ別にシミュレーション

貯蓄で間に合うなら無理に投資をする必要はないですし、投資をするとしても低リスクな投資先を選べば良いのです。

投資が必要なら自分のリスク許容度を確認して、それに見合う投資先を選びます。
投資によって得られるリターン、投資にかかる経費、維持運営にかかる手数料なども考慮して投資先を決定します。

リスク回避のために投資先は分散させることをお勧めします。
分散されることでひとつの資産が急落しても、すぐには下落の心配のないほかの資産や強さを維持したり価格が上がる資産がリスクを分散してくれます。

④ 投資を実行する

計画をもとに投資を実行します。
投資は投資したら終わりではありません。

少なくとも年に一度は資産診断を行う必要があります。
自身の収入が変わったり、予想外の収入があったり、投資先のどれかが急落して予想していた収益が得られなくなることもあります。

投資を始めると合理的な思考を失ったしまうことがあります。
集団が衝動的に行動すると、それに従ってしまって合理的なとは言えない行動をしてしまいます。
欲と恐怖で冷静でいられなくなってしまうのです。

投資をしながら合理的な思考を持ち続けるためには、常に出口戦略を持ち続けることが大切です。

資産が何パーセント急落したら撤退すると決めておくと、「感情」による衝動を排除してくれるので大きな損害を出さずに済みます。

一般的には年齢が増えるとリスク許容度は低下します。
資産診断をしながら年齢に応じてリスク資産の割合を減らして、低リスクな資産に組み替えていきます。
税金等の理由で組み替えが必要な場合もあります。

※ブラックスワン

マーケット(市場)において、事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のことをブラックスワンと言います。
投資をしていると数年に一度くらいは突然起きる急落や経済的大災害が起きます。

・資産を多様化させる。
・生活防衛資金を作っておく。
・仕事をやめない。
・保険をかける。
などの経済的大災害から身を守るための備えが必要です。

⑤ 資産の取り崩し

必要な金額が貯まってきたら資産の取り崩し割合を検討します。
一気に現金化するのではなく、一定割合で取り崩していくと相場の影響を受けにくくなります。

不動産の場合は、いつでも現金化できるような運営内容にしておくと、相場を見ながら現金化のタイミングを探ることができます。

かぼちゃの馬車のオーナーの失敗事例から学ぶ 投資の基本

かぼちゃの馬車のオーナーの失敗事例から学ぶ 投資の基本

①不動産投資 破たんの階段

かぼちゃの馬車のオーナーはサブリース賃料が払われなくなったため、すぐに返済に困って破たんしました。

一般的に不動産投資で破たんをする場合は、空室や賃料減などで、じわじわと収入が減る一方で、支払う経費や税金は増えていって破たんします。

一物件一法人のスキームで自己資金を使わず規模を急拡大した人や、二重契約のオーバーローンを使ってしまった人は、よほど収益性の高い物件を持っていない限り10年くらいで収支の悪化が始まり、じわじわと破たんが近づいてきます。

参照
犯罪の可能性も 違法なオーバーローンに注意
複数法人利用の「一物件一法人スキーム」はグレーゾーン?

スルガ銀行の融資問題は、スマートデイズが倒産したために発覚しましたが、もともと抱えていた時限爆弾の針が一気に進んだものです。

②破たんした投資家が犯したミス

破たんをした投資家は、投資における基本的な知識が足りなかったか、基本的なリスク管理を怠ったために最悪の結果になってしまいました。

・投資をする前に生活防衛資金を貯めずに実行する。
・ひとつの資産に偏って大きな投資をする。
・自分のリスク許容度を超えた投資をする。
(そもそもリスク許容度なんて考えていなかった人も)
・長期的なシミュレーションをしない
・途中で撤退できない出口戦略のない投資
(スルガ銀行のローンありきのシェアハウス投資)

業者や銀行に問題があったとしても、投資家自身のリスク管理ができていれば、防ぐことができた破たんだったのだと思います。

シェアハウス投資の失敗は投資の基本を無視したから

市場から退場

シェアハウス投資で失敗した人は、投資の基本を無視してしまったため、市場から退場することになりました。

サブリース賃料の支払い停止というブラックスワンが起きたのは事実ですが、あまりにも無防備だったと言えます。

不動産業者や銀行に騙されたとしても、自分を守るための施策が足りなかったのです。

スマートデイズとスルガ銀行はたくさんのセミナーを開催していました。

セミナーは集団を衝動的に行動させて、合理的な思考を奪う良い機会になります。

一度落ち着いて合理的な思考を取り戻した人が多ければ、ここまでの被害は出なかっただろうと思います。

もっとも悪いのは、破たんしつつあるスキームで投資を勧誘したスマートデイズですが、投資家側の不注意もあります。

家賃や土地の価格は、少し不動産のポータルサイトを見ればある程度は把握できます。
その程度のリスク管理すらしなかったのなら、投資家として準備不足だったということです。

投資は最終的には数字とロジックです。
投資に関する情報は世の中に腐るほど出回っているのですから、耳触りのいい話ではなく合理的な情報を集めて投資をしてほしいと思います。

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