2019年も残り5日となりました。
2019年の不動産業界はたくさんの不祥事がありましたが、最大のインパクトはスルガ銀行の不正融資問題ではないでしょうか。
スルガ銀行は業務停止処分後に不動産融資を東京都の物件に限定して再開しています。
融資内容を大きく変えて再開していて、業務停止前より金利が下がったので使いやすい商品になっています。
最近は積極的に融資実行も始めているそうです。
この記事では、スルガ銀行の収益物件融資再開で、今後の不動産投資がどうなるのか説明します。
目次
2019年不動産投資最大のニュース スルガ銀行不正融資のその後
「シェアハウス借金、物件手放せば免除へ」
2019/11/20 日経電子版
スルガ銀行による不正な融資で過大な借り入れをしたシェアハウスの所有者が、物件を手放せば借金の返済を免除されることで調整が進むことが20日、分かった。
同行のシェアハウス融資を巡っては返済に行き詰まる所有者との係争が続く。
同行は創業家との資本関係を解消したのに続き、不正融資問題を解決して不祥事に区切りを付ける。
この記事については、報道されてから1カ月経っても、スルガ銀行から何も発表がないので、報道の真偽は分かりませんが、不正融資問題を解決して、先に進みたいということなのかもしれません。
そもそも、被害者と言われる人たちは融資を望んでいたからお金を借りたのでしょうから、銀行にだまされたのではなく、シェアハウスの販売業者の説明に乗せられて、よく調べもせずに投資を実行して失敗したということではないでしょうか。
スルガ銀行としては、ノルマ達成のために行員が協力していたことは事実なので、問題解決を優先しているのかもしれません。
アパートローンに影響大? 金融検査マニュアル廃止
金融検査マニュアルには不良債権の分類や引当の基準が決められていました。
このマニュアルが金融機関が一律に同じような融資姿勢をとる原因だったことは間違いないでしょう。
銀行はこのマニュアルにしたがって不良債権に該当しないように融資をしてきましたが、マニュアルは廃止されることになりました。
これからの金融庁の検査についての考え方はディスカッション・ペーパーという形で提示されています。
不動産についての記述は少ないですが、地域性、空室率の推移・賃料水準などの指標の推移に基づいて、引当率を調整することという内容の記述があります。
銀行は不動産に融資したい
一般的に不動産業(賃貸業を含む)は、他業種に比べて貸倒れの割合が低く、実物の不動産を担保にとれるため、銀行は不動産に融資をしたいと思惑はあると思います。
そうは言っても住宅ローンは超低金利ですから、スルガ銀行が収益物件への融資を再開し、積極的に進めているのは、住宅ローンよりも収益があり、ある程度安全なのは収益物件への融資ということあるかもしれません。
今後、不動産融資を受けるために大切なこと
①今後は地域性が考慮される
不動産賃貸業者向け貸出については、当該地域の過去の空室率や賃料水準の変動に伴って、貸倒れが増減する傾向にあることが確認された場合には、過去の実績に加え、これらの外部環境の変化をも考慮して信用リスクを推計し、金融機関が実質的な自己資本や適切な引当の水準をどのように考えているかを対話する 。
金融庁ディスカッション・ペーパー
銀行は不動産マーケットの動向や空室率、賃料水準等を分析して信用リスクを推計することになります。
人口減少によりマーケットが縮んでいくような地域では、担保評価が厳しくなる可能性があり、自己資金を多く投入するなどが必要となる可能性があります。
②企業・経営者の価値を上げる
金融庁長官は「担保、保証がなくても金融機関が企業、経営者を見て判断し、融資できるサービスを提供する」と発言しています。
経営者としての実績や企業の経営内容、財務状況など向上させる必要があるということでしょう。
まとめ 2020年の不動産融資はどうなるのか?
スルガ銀行の問題があまりにも衝撃的だったので、収益不動産融資は厳しくなりましたが、今の厳しい融資スタンスは、少しずつ改善していくでしょう。
多くの金融機関が一律に同じような態度をとる原因だった金融検査マニュアルですが、廃止されたからといって、すぐに融資が受けやすくなるわけではありません。
代わりに登場した「金融庁ディスカッション・ペーパー」がマニュアルのような役割を果たすとすれば、人口が減少することが分かっている日本において融資先の不動産の選別は進んでいくでしょう。
空室率や賃料動向などに注意して将来のリスクを織り込んだ物件を選定する必要があります。
2019年の配信は今回が最後となります。
よいお年をお迎えください。