賃貸不動産業界の仕組みが分からず、どんな基準で空室を募集する会社を選んだらいいのか分からないという人は多いと思います。
不動産管理会社選びで失敗しないために、賃貸不動産業界の現状と管理会社について説明したいと思います。
目次
賃貸不動産を扱う不動産会社の業務
賃貸不動産を扱う不動産会社の業務にはどのようなものがあるかご存知でしょうか。
- 「入居者を募集する」
- 「契約書を作成する」
- 「物件の室内を案内してくれる」
- 「滞納家賃の督促をしてくれる」
- 「入居者のクレームに対応してくれる」
- 「退去の手続きをしてくれる」 etc…
賃貸不動産を扱う会社が行う業務は多岐にわたります。
大きく分けると「賃貸仲介業務」と「管理業務」の2つに分かれます。
賃貸不動産会社は「賃貸仲介業務」だけを行う会社と「管理業務」だけを行う会社、その両方を行う会社があり、それぞれに得意な業務があります。
賃貸不動産業界の現状
最近の部屋探しの実態は?
10年くらい前はそうだったかもしれませんが、今の部屋探しはインターネットから始まります。
2015年の調査ですが、リクルート住まいカンパニーの「賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」によると、80%以上の人がPCやスマートフォンを利用して部屋を探したと答えています。
不動産会社への直接訪問は、30%弱で訪問した会社の数は平均1.7店舗、見学した物件は平均3.4件なので、インターネットで情報収集をしてある程度物件を絞った段階で不動産会社を訪問しているのだろうと思われます。
部屋探しの現状が変わっているのですから、インターネットに対応できていない管理会社には入居者を探す力がないと言えます。
賃貸仲介にかかわる不動産会社の分類と取引の現状
賃貸仲介会社の分類
賃貸不動産の場合、取引に関与する不動産会社は3パターンに分かれます。
①入居者を案内し物件を成約する客付仲介会社
②自社の管理物件への客付をする管理会社
③客付をしない物件募集窓口のみを行う管理会社
①の会社は空室情報をポータルサイトに掲載して、ひたすら入居者を探してくる会社です。
部屋探しのサイトにたくさん物件情報を掲載している会社はこのタイプが多いです。
②はテレビCMができるような賃貸で有名な会社がだいたいこのタイプです。
③は賃貸仲介の店舗は持たずに①の会社に情報提供をして入居者を探してもらう会社です。
賃貸仲介会社の経営事情
賃貸不動産の契約は、仲介手数料が賃料の1か月分を上限としています。
不動産会社が2社契約にかかわると、賃料1か月分の手数料を2社で分け合います。
契約1件あたりの利益率が低くなるので、会社が大きくなると②のタイプに会社を目指していきます。
自社で管理している物件に、自社で入居者を見つけると、上限の手数料をもらうことができるからです。
①の会社は、とにかく客付をする必要があるため、いろいろなポータルサイトに広告をします。
そのため、③の会社は①の会社に情報を提供して入居者を探してもらいます。
①と③は利害一致するので、協力しあって仕事をしています。
②のタイプの会社は、①の会社に情報を提供すると、契約1件あたりの利益が減るため基本的には情報を提供しません。
最近は②のタイプの会社は、①の情報量に押され入居者探しに苦戦していることがあるようです。
おそらく市場には、①のタイプの会社が多く、たくさんある①の会社がみんなで広告をたくさん出すので、②のタイプの会社が1社でがんばっても、圧倒的な①の会社の数に勝てないため顧客の獲得に苦戦しているのだろうと思います。
②のタイプの会社には、自社物件の仲介のみでは経営が厳しくなっているため、契約1件あたりの利益を上げるために鍵交換や部屋の消毒、コールセンターの利用料などを、入居者からもらってマージンを取っている会社もあります。
不要な初期費用は、入居者が負担しなけばならない費用の増加です。入居コストの高い物件は、部屋探しをしている人から敬遠されてしまう可能性があります。
管理物件の募集に、余計な初期費用の項目が多い会社は、部屋探しをしている人から敬遠されてしまう可能性があります。
その空室は管理会社が悪いから?
最近の入居者の傾向として、インターネットで物件を探すことが当たり前になっているので、相場よりも家賃の高い物件、初期費用の高い物件はインターネットの情報収集の段階で候補から外されてしまいます。
空室に悩んでいる人は、自分の物件の広告探してを見てみるといいと思います。
(広告の掲載がないなら掲載を依頼してください。)
物件の検索をする時には、部屋探しをしている人と同じくエリアや家賃で条件を絞ってみて下さい。
同じエリアの他の物件と比べて家賃が高かったり、条件に劣るようなら、管理会社の問題ではなく、募集条件の問題の可能性が高いです。。家賃を下げる、余計な初期費用を削るなどの見直しやフリーレントの検討など、条件の見直しが必要です。
もし、条件が劣らないのに入居者が決まらないのであれば、情報公開されていなかったり、募集図面の見せ方が悪かったり、管理会社の対応で改善できることが原因かもしれません。
管理会社が対応すれば解決できる問題で、入居者が決まらないというのは管理会社の怠慢です。
募集物件の競合物件の条件分析は、管理会社の仕事なので、長期間の空室があっても条件変更の提案がない場合には、管理会社の力量不足と言えるでしょう。
良い管理会社を選ぶためのポイント
自分に合うのはどのタイプの会社か見極めることが大切です。
賃貸客付けがメインの会社は収入源が仲介手数料ですから、繁忙期(1月~3月)には仲介業務に忙しくなります。
一方、不動産オーナーは2月、3月は確定申告の時期にあたり不動産会社に確認しなければならないこともでてきます。
税理士が不動産オーナーの申告書を作るために、不動産会社に確認事項の電話をしても、忙しくて対応してもらえないという話を聞くこともあります。
客付け業務に忙しければ、その時期は管理業務がおざなりになることもありますので、客付け業務がメインの不動産会社は、管理業務には向かないことが多いです。
外から見ただけでは会社の体質は分かりませんが、その会社は何を主な業務としていて、自社だけで対応できない業務についてはどのような対策をしているのか、苦手な分野は何なのか、しっかり確認することが必要です。
- インターネット広告に積極的
- 物件情報を自社だけで囲い込まない
- 1件の入居契約で過剰に利益を得ようとしない
- 募集物件周辺の競合分析を定期的に行って提案をしてくれる
最低限この4点はクリアしている管理会社を選ぶようにして下さい。