先日、2017年の公示地価が公表されました。
公示地価からも分かる通り、不動産価格は4,5年前と比較して確実に上昇しています。
不動産価格が安い時期に購入した物件を売却して利益を確定する人もいると思います。
不動産の売却で、まずはじめに行うのは査定ですが、この査定はとても重要です。
高額査定の物件 高値で売れるはずが・・・
不動産を売却する時に、インターネットで価格査定をする人は多いと思います。
特に、一括査定サイトを利用する場合に注意が必要なのが、「査定額」=「売買が成立する金額」ではないということです。
査定価格は、買取価格を算出しているわけではありません。
「このくらいの金額なら売れるだろう」という金額を予想して、提示しているだけなのです。
この前提を理解しないまま、一括査定を利用して売却の長期化、結果として低い金額で売却してしまうことがあります。
一括査定サイトの場合、多くの不動産会社は相場よりも高く査定します。
よほど特殊な条件の物件でない限り、相場よりも高いということは売れる可能性が低いということになります。
どうして売れる可能性が低い金額を提示するのか?
それは査定価格=買取価格ではないからです。
買取価格を提示するなら、転売した時に売れるか?、利益率は?、販売経費は? などのいろいろな検討をして価格を提示します。
しかし、査定額はその金額で売れなくても、不動産会社にダメージはありません。
それなら、高い金額で査定をして販売力の高い会社だと印象付ける、売主を喜ばせることに重点をおいて査定をする会社が多いのです。
実際に、売主は高い金額の査定をした不動産会社に売却を依頼しがちです。
高い査定をするということは、販売力があると勘違いしてしまうからです。
現実は、売主のご機嫌取りのリップサービスで高い査定をしているのです。
不動産売却は売主にとってストレスになります。
物件がなかなか売れなければ、どうして売れないのだろうと悩んでしまう売主もいます。
売却開始から数カ月経つと、売主はだんだん売れない不動産を持っていること、売却に苦戦していることに疲れてきます。
そこで、不動産会社は値下げの提案をしてきます。
売りやすい金額や、場合によっては買取業者が提示した買取価格です。
結果として、長い時間をかけても相場通り、もしくは相場よりも安い金額で売ることになってしまいます。
これは、不動産会社の常とう手段なのですが、結果として成約価格が査定額を大きく下回ったとしても、査定額にクレームを言う売主はごく少数なのです。
無責任で間違った査定を基に、売却を依頼し、時間を無駄にしたのですから、憤りを感じても不思議ではないのですが、「長い間、売却活動を頑張ってくれたから」など情がわいてしまうのかもしれません。
不動産売却で失敗しないためには
①査定を依頼した不動産会社の専門分野を知る
売買に強い会社・賃貸に強い会社・住宅に強い会社・投資用不動産に強い会社など、不動産会社には専門分野があります。
賃貸がメインに会社に依頼をしても物件の売り方がわからない担当者がたくさんいます。
査定すら満足にできない可能性もあります。
実需の住宅販売がメインの会社には投資用不動産の販売ノウハウがないことがあります。
例えば、住宅ローンの取り次ぎはしているが、アパートローンは未経験だったりします。
投資用不動産には契約時に合意しておかなければトラブルになりかねない特有の要素があります。
販売のノウハウがない会社はそのようなトラブルになる要因を理解していないので契約書の特約が抜けてしまうなどトラブルの元を作ってしまいます。
ホームページなどでどの分野に強い不動産会社なのか調べて依頼する会社を選びましょう。
②査定価格の根拠を確認する
査定をする不動産会社は、何よりも媒介契約が欲しいために、通常よりも高い値段で査定額を提案してくるかもしれません。
不動産の査定額を提示するには、それなりの根拠があります。
類似物件の成約事例や、金融機関の融資状況などです。
どうして、その査定額になるのか、説明を聞いて比較することが大切です。
不動産は査定する人が違えば、価格が大きく異なるようなことはありません。
査定物件と同条件で探している買い手がいるとか、自社の顧客の数とか、根拠に乏しい理由を話す不動産会社の査定額は信用できません。
③査定価格の高さで依頼する不動産会社を決めない
査定額で不動産会社を選ぶと、本当の査定額を提示した優良業者より媒介契約を取りたいがために、高い査定額を出した不動産会社の金額で売り出し始めてしまうことになってしまいます。
もちろん、高い価格で売れるに越したことはありません。
相場より高い値段で出しても、たまたま成約できることもあるでしょう。
しかし、相場より高い物件はあまり反響がなく多くの場合、売れ残ってしまいます。
販売をお願いしていた不動産会社は、「今より価格を下げないと売れないかもしれません。」と言うでしょう。
理由は適当に後付けされます。
相場より高いのなら相場通りの価格に下げなければ売れません。
不動産投資の終点は、売却による利益の確定です。
投資の成果が決まる、最も重要な「売却」で失敗しないためにも、査定額は冷静に受け止めて、自分の物件の価値を判断して下さい。