相続

約40年ぶりの相続法改正 相続のどこが変わった?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
相続法改正

高齢化の進展など社会環境の変化に対応するため、約40年ぶりに相続法の大きな見直しが行われました。

この記事では、相続法のどこが、どのように変わったか説明します。

約40年ぶり相続法(民法)の改正

相続法改正

2019年7月より約40年ぶりに相続法が改正されるという内容が多く報道されました。
相続の法律は税法と民法の規定があります。

税金に関する法律は、社会の変化などに合わせて、毎年改正されています。
最近の大きな改正は、2015年1月の相続税の基礎控除の減額です。

これは税制改正で、相続税法の改正です。
今回の相続法の改正は、民法の相続について規定した部分の改正です。

施行日別、相続法改正点のポイント

①自筆証書遺言の方式を緩和

平成31年(2019年)1月13日 施行済み

遺言書

自筆証書遺言を作るときには、全て自筆しなければなりませんでしたが、今回の改正で遺産の目録はパソコンで作成したり、通帳のコピー、不動産の登記事項証明書などを添付したりすることができるようになりました。

パソコン等で作った目録にも「署名押印」は必要で、本文は自筆しなければなりませんが、自筆証書遺言の作成のハードルは下がりました。

※平成31年(2019年)1月13日以前に作成された遺言は新方式では無効です。

②遺産分割前の預貯金制度の見直しなど

令和元年(2019年)7月1日

(1)遺産分割協議中の預金仮払いがOKに

改正前は、生前の入院代や葬儀代の支払いなど、お金が必要になった場合でも、相続人は遺産分割が終了するまでは被相続人の預貯金の払戻しに銀行が応じないことがありました。

今回の改正で、分割協議の最中でも家庭裁判所の判断を経ずに、一定額まで口座から引き出せるようになりました。



(2)遺留分制度の見直し

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に最低限保証された遺産に対する権利です。
遺言が残されていた場合、その内容のとおりに遺産を分けますが、配偶者や子など法定相続人には「遺留分」が保証されています。

遺言に偏った配分が書かれていた場合、遺留分は保証されますが、これまでの相続法では、この権利行使は目的物の返還請求とされていたため、遺産の共有がさまざまな問題の源になっていました。

今回の改正で、遺留分の請求を金銭の支払で解決できるようになったため、目的物が共有になるというような問題は生じなくなりました。

(3)介護や看病に貢献した親族にも請求権を認める

介護

 

親の介護で特別な貢献をしていた場合、遺産分けに反映する決まりがありましたが、対象は法定相続人の範囲内に限られ、義理の父を生前に介護した配偶者などは対象外でした。

今回の改正で、相続人ではない親族も、無償で被相続人の介護や看病に貢献した場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようになりました。

(4)特別受益の持戻し免除の意思表示の推定

結婚期間が20年以上の夫婦間で、配偶者に対して自宅の贈与がされた場合に、計算上、相続財産とならないように改正されました。

改正前には、配偶者に対して自宅の贈与をした場合でも、その自宅は遺産の先渡しとみなされ、配偶者が受け取ることができる遺産の総額がその分減らされていました。

今回の改正により、長年連れ添った夫婦間で居住用不動産を贈与した場合、自分の死後に配偶者が生活に困らないようにとの趣旨で生前贈与をしたとみなすことで、配偶者相続人が保護されることになりました。

③配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設

令和2年(2020年)4月1日施行予定

相続法改正、配偶者居住権

(1)配偶者居住権

今までの相続法では、配偶者名義の家に長年住んでいた妻(夫)が、遺産分割協議等でその家を取得できなければ、引き続き居住を続けることができない可能性がありました。

配偶者相続人が亡くなった夫(妻)名義の建物の所有権を相続しない場合でも、終身のまたは一定期間、建物に無償で住み続けられるという新しい権利(配偶者居住権)が認められました。
※配偶者居住権は、遺産分割協議などで認められる必要があります。

(2)配偶者短期居住権



配偶者居住権が認められない場合でも、相続開始時から6か月間は亡くなった夫(妻)と居住していた建物に無償で住むことができます。

④法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度

令和2年(2020年)7月10日

法務局、遺言書保管

自筆証書遺言を作成したら、その遺言を法務局に保管してもらえるようになりました。
法務局に保管すると、偽造、変造等のリスクがなく安全ですし、保管の時に法務局が形式審査を行うことで、形式不備の恐れもなくなります。

この保管制度を利用した自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認手続が不要になるため、手続きがスムーズになります。

相続人が法務局に請求することで、遺言が保管されているか、どのような内容かを確認することができるようになるため、遺言書に気付かない可能性も低くなります。

まとめ

今回の改正で、少子高齢時代に対応するため、保護される対象者が拡大され、手続きも少しだけ簡素化されました。

親が亡くなるなど、相続が発生したときの手続きについて定めている「相続法」は多くの人に直接関係する法律です。

法律改正ポイントを理解していないと、相続トラブルの原因になったり、相続で不利益を被る可能性もあります。

ご自身の場合と照らし合わせて、分からないことは専門家に聞く、調べてみるなどして、相続トラブルにならないようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

コメントを残す

*