不動産投資セミナーなどで「一物件一法人スキーム」と呼ばれる手法が紹介されています。これは、複数の法人を設立して物件ごとに融資を受け、規模拡大を図る方法です。しかし、この手法は金融機関を欺く行為であり、違法行為となる可能性があります。
本記事では、「一物件一法人スキーム」の実態と、その危険性について詳しく解説します。
目次
「一物件一法人スキーム」とは?
「一物件一法人スキーム」とは、不動産投資において、物件ごとに資産管理法人を設立し、複数の法人から融資を受け、規模拡大を図る手法です。
手口
個人で融資を受けられる限度額を超える融資を獲得するために利用される。
金融機関に他の法人の存在を隠して融資を受ける。(他の法人で融資を受けていることを銀行に隠して融資を受ける)
個人の信用情報は法人の連帯保証人となっても登録されない場合があるため、複数の法人を設立することで隠蔽が可能になる。
問題点
金融機関を欺く行為であり、違法行為となる可能性が高い。
一括返済や融資の謝絶などのリスクを伴う。
規模が大きくなると個人の資産だけで対応できなくなり、破綻リスクが高まる。
違法行為となる可能性
「一物件一法人スキーム」は、金融機関に対して虚偽の情報を提供することで融資を受けようとする行為であり、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の成立要件
欺罔行為(人を欺く行為):金融機関に他の法人の存在を隠すこと
財産的利益の取得の意図:融資を受けようとすること
財産的損害の発生:金融機関が貸し倒れ損失を被る可能性
刑罰
10年以下の懲役
金融機関にバレるリスク
近年、マイナンバー制度の導入や金融機関の連携強化により、法人の情報開示が進んでいます。
○金融機関が調査する手段
- 法人番号・商号・所在地からの検索
- 法人登記簿謄本の取得
- マイナンバーを用いた情報収集
- 金融機関同士のデータ連携
○バレた場合の対応
- 融資の一括返済
- 融資の謝絶
- 信用情報機関へのブラックリスト登録
- 詐欺罪での刑事告訴
破綻への道
「一物件一法人スキーム」は、規模拡大を追求するあまり、破綻リスクを大きく高めてしまう危険な手法です。
○破綻した場合の影響
- 多額の負債を抱える
- 個人資産を失う
- 事業の継続が困難になる
- 信用情報機関へのブラックリスト登録
不動産投資の適切な規模拡大方法
「一物件一法人スキーム」は、資産形成どころか人生破綻のリスクを伴う危険な手法です。
適切な規模拡大方法
- 自分の資産状況や返済能力に合った投資規模で始める。
- 経験を積みながら、徐々に規模を拡大していく。
- 複数の金融機関から融資を受ける場合は、すべての法人の存在を開示する。
○開示のメリット
- 金融機関との信頼関係を築ける。
- 不正融資のリスクを回避できる。
- 安定した経営を実現できる。
○開示の際の注意点
- 各法人の事業内容や財務状況を明確にする。
- 金融機関とのコミュニケーションを密にする。
まとめ
「一物件一法人スキーム」は、一見魅力的な手法に見えますが、違法行為のリスクがあり破綻への道という大きな落とし穴があります。
不動産投資で成功するためには、適切な規模で着実に経験を積み、信頼関係を築きながら事業を進めていくことが重要です。
違法行為に手を染めずに、堅実な方法で資産形成を目指しましょう。
※このスキームが流行した当時は、金融機関が実態を知る方法が限られていました。しかし、昨今は様々な対策がされていて2024年現在では金融機関をだますことは難しくなっています。金融機関をだます行為は逮捕者も出ており注意喚起のため加筆修正し再投稿しました。