少し前の話になりますが、6月24日号の週刊ダイヤモンドが「相続・副業の欲望につけこむ 不動産投資の甘い罠」という特集を掲載しました。
雑誌なので大げさに書いてある部分はたくさんあると思いますが、複数の業者の資料を入手して検証するなど非常に興味深い内容でした。
セミナーや不動産投資の本では、良いことだけしか教えてもらえないですから、たまにはこんな内容の本を読んでみるのも良いのだと思います。
この記事では、週刊ダイヤモンドの特集「相続・副業の欲望につけこむ 不動産投資の甘い罠」について取り上げてみたいと思います。
目次
相続・副業の欲望につけこむ 不動産投資の甘い罠
①相続税対策としての不動産投資
相続税対策として、ローンを利用してアパートを建設することは、有効な相続税対策のひとつです。
しかし、アパート建設による相続税対策が全て有効なのではなく、有効となるには、いくつかの前提条件があります。
多額の現金を持っている場合や、自宅以外に土地を持っている場合には、賃貸需要が見込める立地条件で、収支が合うなら検討しても良いでしょう。
週刊ダイヤモンドでは、以下の問題点をあげています。
・リスクを負う相続税対策が必要のない人のアパート建設
→小規模宅地等の特例を使えば、アパート建設で節税をする必要がない人もいる。
・35年一括借り上げ(サブリース)のトラブル
サブリースのトラブルについてはこちらの記事をご覧ください。
参照:「サブリースのトラブル 原因と対処法」
②副業としての不動産投資
「受け取れる年金が減るのでは?」など、将来への不安から、不動産投資をする人が増えています。
セミナーや不動産投資の本の影響で、不動産投資の規模を拡大して、セミリタイアを目指している人もいるかもしれません。
週刊ダイヤモンドは、副業としての不動産投資の問題点として、以下の3点をあげています。
・家賃が下がらない前提でのシミュレーションによる投資判断
・赤字収支の不動産投資
・返済比率の高い融資
不動産投資は甘い罠だらけ?
いろいろと問題点があがりましたが、資産運用としての不動産投資は正しく行えば、決してリスクの高いものではありません。
物件を購入した後の運営について、事前にリスクを考えておけば、破綻をするようなことは少ないのです。
セミナーや不動産投資の本では教えてもらえないのかもしれませんが、利回り10%のRC造の物件をフルローンで5棟買ったら、人生全てうまくいくわけではありません。
どんな物件でも建物が古くなれば家賃は下がります。
立地条件によって下落率に差はあると思いますが、全く下がらないということはありません。
建物は古くなれば修繕をする必要があります。
設備の更新も必要です。
修繕をしなければ、家賃の下落率が上がってしまいます。
工事には費用がかかるので、その費用は賃料から積み立てておかなければなりません。
収益不動産は保有してから経営がスタートします。
シミュレーションの段階から、家賃の下落や修繕費用を試算してあれば、このリスクは事前に準備ができます。
投資に失敗している人の多くはシミュレーションの甘さに原因があります。
単年や10年分くらいのシミュレーションしかしていなかったり見通しが楽観的だったり、なぜか節税分が収支に入っていたり。
きちんと家賃下落や修繕費、金利上昇などのストレスをかけたシミュレーションをしてあれば、赤字収支の不動産投資や高い返済比率の不動産投資は実行する意味がないことが分かると思います。
私はいつも不動産投資は想像しているほどは儲からないと伝えています。
「甘い罠」に引っかからないためにも冷静にシミュレーションをして投資判断をしてください。