不動産投資

マスコミは報じない不動産投資の本当の闇

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マスコミは報じない不動産投資の本当の闇

不動産にかかわる仕事をしている者としての私見ですが、「スルガ銀行の不正融資問題の報道は、不動産投資の闇の本質を表していないのでは?」と思っています。

マスコミの報道は「スルガ銀行=悪」まっしぐらです。
スルガ銀行が悪いことは間違いないのですが、不動産投資の問題はそれだけではないのです。

最近は悪者を作って徹底的にたたくことが多く、雑誌・新聞をたくさん売るためには仕方ないとは言っても、不動産投資の本当の闇を報道しているわけではありません。

この記事では、スルガ銀行の不正融資から見る不動産投資の本当の問題点を説明します。

スルガ銀行の不正融資

スルガ銀行の不正融資

当初、スルガ銀行は、物件評価や耐用年数を超えてリスクを取る替わりに高めの金利で貸し出すという融資方針でした。

一般的には、収益物件の融資は耐用年数の残存期間を融資期間としていました。
耐用年数以内の融資だと、築20年の木造アパートは2年間しか融資が受けられません。
しかし、木造住宅はメンテナンス状況によっては、40年・50年でも住むことができます。

耐用年数期間内の融資では、今後数十年にわたって家賃収入を得られる不動産の評価がゼロになるという現実がありました。

物件のメンテナンス状況などは全く考慮されないことも多く、単なる土地建物の再調達価格に対して融資をしているだけでした。

スルガ銀行は、収益物件がどれくらいの収益をもたらすかという視点で融資をしていました。

ストックの活用・物件の流通面からは、スルガ銀行が始めた融資のスタンスは良かったと思います。

しかし、不動産投資市場が拡大すると、銀行内で様々な不正が行われるようになってしまったようです。

第三者委員会の報告書によると、スルガ銀行が行った不正は以下の通りです。

・パワハラ
・アパートローンとフリーローン・定期預金などの抱き合わせ
・通帳や源泉徴収票などのエビデンス偽造の黙認・偽造への関与
・レントロール(家賃)偽装の黙認・偽装への関与
・現地調査のスケジュールを不動産業者に教える
・行員へのキックバック(疑惑)

行員は、達成できないノルマをあたえられ、営業成績が悪いとパワハラをされるという状況で、様々な不正を行いながら融資をとおしていたことが分かります。

実質的には、審査がされていないような状態で融資をしていたということのようです。

マスコミの報道ではスルガ銀行だけが不正融資を報じられていますが、積極的に銀行員が関与したのがスルガ銀行ということであって、他行でも不正を黙認して融資をしたり、定期預金を条件に融資をした案件はあるだろうと思います。

スルガ銀行の融資を使った三為業者

悪人のイメージ

スルガ銀行の不正融資に関連して、三為業者のやっていたスルガスキームも報道されています。

※スルガスキームとは?

①転売業者:Bが不動産オーナー:Aから物件を仕入れる。(第三者のためにする売買契約)
仕入れ時点でスルガ銀行の評価額を確認し、フルローンで販売できる価格設定ができる仕入れ価格で契約する。

②転売業者Bは「自己資金なしで不動産投資」という内容のセミナーなどで集客

③転売業者Bは集客した投資家:Cと物件の売買契約。
Cへのアパートローン(フルローン)はスルガ銀行が融資する。

④所有権移転はAからCへ直接移転。

①から④には違法・不正はありません。


転売業者が売却益を得ることはただの経済活動です。何の問題もありません。
安く仕入れて高く売ることは違法行為ではないですし、不動産業に限らずどの業種でも行われている経済活動です。

アパレル業界では高級ブランドの原価率は30%程度だそうです。
粗利益70%ですが、ルイヴィトンは暴利をむさぼっていると主張するメディアはありません。

世の中がルイヴィトンというブランドの価値を認めて、ブランド価値を含めた価格で購入する人がいるから売買が成立しています。
原価率だけでものを買うわけではありません。

転売業者の物件を購入するのも、売る側と買う側との間での合意によって売買が成立しただけなので問題ありません。

ただ、転売業者の中には
・ローン用の売買契約書の作成(二重契約)や銀行に隠れて売買価格を変更する覚書の作成
・通帳や源泉徴収票などのエビデンス偽造
・レントロール(家賃)偽装
・転売業者が自己資金を投資家に一時的に貸付
・手付金等の領収書の偽造
などをスルガ銀行の行員と協力して行っていた会社もあり、仕入れる物件もスルガ銀行から紹介されていたケースもあります。
(スルガ銀行は転売業者の仕入れ資金も融資)

違法行為していた業者はペナルティーを受けるべきですが、投資家側も不正を了解している場合が多く、かぼちゃの馬車のように破綻しないと問題は表面化しません。

参照
犯罪の可能性も 違法なオーバーローンに注意
複数法人利用の「一物件一法人スキーム」はグレーゾーン?

仲介業者がしていた不法行為

仲介業者がしていた不法行為

・ローン用の売買契約書の作成(二重契約)や銀行に隠れて売買価格を変更する覚書の作成
・通帳や源泉徴収票などのエビデンス偽造
・レントロール(家賃)偽装
・仲介業者が自己資金を投資家に一時的に貸付
・手付金等の領収書の偽造

転売業者のケースと同じく投資家も不正を了解しているケースが多く問題は表面化しません。


融資に強いと言われていた仲介業者が、銀行側に不正がばれてローンの斡旋ができなくなり、経営に行き詰まり廃業というケースはあるようです。

不動産投資家の不正に協力する税理士

不動産投資家の不正に協力する税理士

仲介業者や転売業者に協力して不正に加担していた税理士もいます。
二重契約がバレないように税務署用と銀行用の2つの決算書を作るのです。
粉飾決算ということです。

「税務署用と銀行用に数字の違う決算書を作ってほしい」という依頼は普通受けませんから、税理士は全ての経緯を知った上で協力しています。

不正な方法をスキームと称してセミナーをするメガ大家

カリスマ大家さんにだまされる

自分が不正な方法で規模拡大しているケースが多く、自分が行った不正融資と同じ方法をスキームと称して投資家に勧めます。

具体的には、不動産投資塾を開催してセミナーを開催したり、本を出版したりします。

違法行為は本に書けないのでセミナーで話したり、視聴にパスワードが必要な動画やメルマガなどで不正の方法を解説しています。

セミナーの多くは有料で、無料セミナーは提携している不動産業者から報酬をもらいます。

中には自分の不動産賃貸業は行き詰まっていて、セミナー報酬や顧客紹介料でやりくりしているセミナー講師もいます。

参照:カリスマ大家さんの不動産投資塾

違法なスキームの実行を望む投資家

違法なビジネスのイメージ

違法なスキームの多くは、投資家が積極的にかかわらない限り実行できません。
不動産や銀行との融資の契約には署名と捺印が必要です。
登記には印鑑証明書や住民票、身分証が必要です。

実印をコピーして印鑑を作られたり、委任状を偽造して公的書類を取得されない限り、投資家が全く知らないところで不正が進むケースはあり得ません。

積極的に関与しなくても、印鑑や書類を預けるなど、白紙委任ともとれる行為がなければ、不正は難しいのです。

私は以前から、「二重契約」や銀行に法人の存在を隠す「一物件一法人スキーム」はリスクが高すぎるので、やめた方が良いと言っていました。

面談に来る投資家の皆さんにも同じ話をしてきましたが、他の投資家はみんなやっているから大丈夫とか、法人の存在は聞かれなかったから答えなかっただけで問題ないとか、いろいろな理屈で不正をスキームとして行っている投資家をたくさん見ています。

当社は不正なスキームには協力しないと説明すると、融通がきかないなどと言われ取引を断られたことは何度もあります。
不正には協力しないと話した後は、連絡が取れなくなった投資家もたくさんいます。

耳触りのいい話しか信じられない投資家が多かったことが、不正融資拡大の一因だったのだと思います。

不動産業界の改善のためにマスコミ報道やスマートデイズ弁護団にお願い

不動産業界の改善のためにマスコミ報道やスマートデイズ弁護団にお願い

マスコミの報道やスマートデイズ弁護団は、スルガ銀行だけが悪人で投資家は善意の被害者のような論調が目立ちます。

スルガ銀行にこの問題の大部分の責任があることは間違いありませんが、投資家を含む関係者全てに責任があります。

中には虚偽のエビデンスを出すことを黙認したり、加担した投資家もいるでしょう。
サブリースはスマートデイズ以前から、大手アパート建築会社がさんざん問題を起こしています。
絶対に安全であるはずがないことは調べることができたと思います。

他にも評価額の3倍の土地を買わされたという報道がありました。
『評価額の3倍で土地売却 投資者「不安で眠れない」』

この評価額とは何を基準にしているのでしょうか?
どこの土地かは分かりませんが、地価公示や路線価の2倍、3倍で取引される不動産は東京にはたくさんあります。

路線価の3倍なら、それほど高値ではなかったのかもしれません。

そもそも高いと思ったら、買わなければよかったのです。
公示地価や路線価は公開されていますし、ポータルサイトで検索すれば周辺の土地がいくらで売り出されているか調べることができます。

預金残高の改ざんと合わせて報じられたニュースでしたが、安く仕入れたものを高く買ったということなら、購入者側の知識が不足していただけで詐欺ではありません。

このようにマスコミの報道が大げさで、一方を悪者にして違法性のないことまで叩くために、この問題の本質を見失ってしまいます。

下記のページはスマートデイズ被害者弁護団の作っているものです。
https://www.ss-higai-doumei.org/single-post/kiji1

無理矢理ローンを組まされたような記載がありますが、最終的に判断したのは投資家です。

もちろん必要のないフリーローンや定期預金は銀行側に明らかな問題がありますから、契約の撤回や、一部金利負担の返還などの措置は取られるべきだと思います。

投資そのものの成否については、不労所得が得られるような感覚で、リスクを考えず巨額の投資をしてしまう投資家の判断力の問題ではないでしょうか。

不正融資の問題は銀行だけでなく、不動産投資にかかわるたくさんの人が起こした問題で、膿を出しきらないと不動産賃貸業は正常な状態に戻れなくなりつつあります。

この不正融資問題を、不透明な不動産業界が変わるきっかけにするためには、報道や弁護団側が本質を見失わないでもらいたいと願います。

法律に違反していること、モラルに反することはどんどん追求するべきだと思いますが、通常の商取引の中で問題のない部分まで悪いことのように扱ってしまうと本当に問題のある部分までたどり着くことはできません。

不動産投資の本当の闇は、単なる一銀行の不正ではありません。

不動産流通のためのデーターの少なさ・消費者と事業者の情報格差など問題山積みで、不透明な日本の不動産業界を変えるために、「不動産投資の闇」はスルガ銀行だけの問題で終わらせないようにしてもらいたいと思います。



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